<< 2009/10 >>
01 02 03
04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

RSS

白氏文集卷十四 秋蟲2009年10月11日

秋の虫      白居易

切切闇窗下  切切たり闇窓(あんさう)(もと)
喓喓深草裏  喓喓(えうえう)たり深草(しんさう)(うち)
秋天思婦心  秋の天の思婦(しふ)の心
雨夜愁人耳  雨の()愁人(しうじん)の耳

【通釈】暗い窓の下、胸に迫るばかりに、
深い草の中で、虫が頻りに鳴いている。
秋の空に遠い夫を思う妻の心、
雨の夜の愁いに沈むその人の耳に。

【語釈】◇喓喓 虫が頻りに鳴くさま。◇思婦 旅にある夫を思う妻。 ◇愁人 愁いをもつ人。「思婦」と同じ人を指す。

【補記】和漢朗詠集に全文引用されている。但し第一句「切切暗窓下」、第二句「喓喓深草中」。

【影響を受けた和歌の例】
草ふかき宿のあるじともろともにうき世をわぶる虫の声かな(慈円『続後撰集』)
くらき窓ふかき草葉に鳴く虫の昼はいづこに人めよくらむ(宗尊親王『竹風和歌抄』)