雲の記録20091219 ― 2009年12月20日
白氏文集卷十三 邯鄲冬至夜思家 ― 2009年12月20日
邯鄲にて冬至の夜家を思ふ 白居易
邯鄲驛裏逢冬至
抱膝燈前影伴身 膝を
想得家中夜深坐 想ひ得たり
還應説著遠行人
【通釈】邯鄲の駅舎に泊まった夜、冬至に行き遭った。
独り膝を抱えて、燈火の前、身に添うのは己の影のみ。
思えば、故郷の家族も、夜が更けて皆座につき、
やはり遠く旅する人のことを噂し合っているに違いない。
【語釈】◇邯鄲 中国河北省南部。春秋時代の衛、戦国時代の趙が都を置いた、古い由緒ある町。◇冬至 二十四節季の一つ。新暦では十二月二十二日頃。一年で昼が最も短い日。中国では一陽来復の節日とし、家で御馳走を食べて祝ったという。◇説著 噂話をする。◇遠行人 自身を客観視して言う。
【補記】貞元二十年(804)、冬至の夜に古都邯鄲に宿り、家族を思って詠んだ歌。作者三十三歳。大江千里が第二句「抱膝燈前影伴身」を句題に歌を詠んでいる。三条西公条の歌は題「翫月」。
【影響を受けた和歌の例】
独りしてもゆる炎に向かへれば影を伴ふ身とぞなりぬる(大江千里『句題和歌』)
独りだに影を伴ひ明かす夜にましてにぎほふ月のさかづき(三条西公条『称名院集』)
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