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旅のメモ:山の辺の道2010年06月04日

先月下旬、大和路を一人旅し、一日、山の辺の道を初めて歩いてみた。
近鉄天理駅に着いたのは午前十時少し前。観光案内所で詳しい案内図をもらい、出発。既に大半は店開きして賑やかなアーケードを通り抜け、壮大な天理教教会本部を横目に石上神宮を目指す。

石上神宮

十時半、神宮着。時々小雨の降る天気だったが、しっとりと濡れた新緑はかえって美しさが引き立った。
十年ぶりにお参りする石上神宮。
鳥居の手前に柿本人麻呂の歌「をとめらが袖ふる山の瑞垣の久しき時ゆ思ひき我は」を万葉仮名で刻んだ碑がある。「瑞垣」は神社の垣のことだが、元来は上の写真の右側の垣のような苔むした石垣のことを言ったのではないかと思われる。であればこそ「瑞垣の」が「久し」の枕詞たり得る。ところで私のハンドルネームは恥ずかしながらこの歌に由来するのだ。

石上神宮の神鶏

境内には鶏が多数放し飼いされている。神の鳥として大切にされているそうだ。何か由緒があるのかと調べてみたが、よく分からない。誰かの捨てた鶏が野生化しただけだとする説をネットで読んだが、本当だろうか。鶏は元来祭祀のために家畜化された鳥で、日本でも関所などで御祓いのために飼われていたことが知られている。

石上神宮の牛像

神宮の境内から山の辺の道に通じている。その入口の目印になるのが牛の像だ。
大神神社を目指し、南へ下る。やがて果樹園の中を抜ける道となる。ちょうど柑橘類の花が咲いていて、佳い香りがいちめんに漂っていた。池では蛙が鳴き、道端の野茨も満開だ。視界がひらけると、大和三山が望まれる。あいにく靄っていたが。
三十分ほど歩いて峠の茶屋に着く。少し早めの昼食。

山の辺の道

山の辺の道より大和三山を望む

再び出発し、神社や古墳を辿ってゆく。道のほとりには随所に万葉歌を刻んだ石碑があって、長い道のりも飽きることなく歩けた。

棟方志功筆万葉歌碑

なぜか傾いている棟方志功書の歌碑。「あなし河川波たちぬまきむくのゆづきがだけに雲居立てるらし」。
大神神社の摂社、桧原神社に着いたのは午後二時半頃。石上神宮からちょうど10キロメートル程か。
近くに井寺池という池があり、岸辺に歌碑が点在しているというので、一巡りしてみた。中で印象的だったのは川端康成筆の「大和は 国のまほろば」だ。

川端康成書万葉歌碑

たたなづく青垣山を眺めつつ歩いて来た身には、いっそう沁みる歌だ。

井寺池のほとりより三輪山を望む

井寺池のほとりより三輪山を望む。

玄賓庵や狭井神社を経て、午後三時、大神神社着。思ったより早く着いた。というかもっと寄り道してもよかった。天理駅からすると、15キロ程の距離を五時間かけて歩いたことになる。

大神神社



コメント

_ 三友亭主人 ― 2010年06月04日 21時14分

こちらの方においででしたか・・・
石上神宮から大神神社まで歩き、JR三輪駅といったところでしょうか。私の家はその駅から徒歩二分。
本当に近くまでいらっしゃっていたんですね。

いろんな季節に歩いても(夏は・・・・ちょっとですが)それなりに楽しめる道ですが、私はこの季節のこの道が大好きです。

ご存じかとは思いますが、この辺り紅葉はあまり綺麗ではなく、今の季節の多彩な緑が最もその魅力を発揮させてくれます。

これが、もう少しすると、この緑が全て濃くなってしまって、単調になってしまうんですよね・・・・

_ 水垣 ― 2010年06月05日 12時55分

そんなにお近くにお住まいだったとは。
仰る通り、最後は大神神社からJR三輪駅まで歩きました。
夕方に着いたら、三輪そうめんでも食べようと思っていたのですが、ちょっと早く着き過ぎました。
しかし山の辺の道は本当に気持よかったです。
確かに、紅葉の季節より、今ごろの方が「多彩」と言えそうですね。
真夏に歩くのはとても無理だと思いました。
たまたまベストシーズンに休暇が取れて幸運でした。
今度歩くなら、新緑でももう少し早い時季が良いなと思います。
参考になるコメントありがとうございました。

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