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杜鵑草(ホトトギス):草木の記録201010242010年10月24日


杜鵑草 鎌倉市二階堂にて

上は石垣に生えていた杜鵑草。枝の分岐がないので在来種と思われる。
下はご近所さんの花壇からはみ出ていたのを撮影させて頂いた。こちらは枝分かれしているので、台湾杜鵑草と交配させた園藝種だろう。

杜鵑草(園藝種) 鎌倉市二階堂にて



白氏文集卷十三 縣西郊秋寄贈馬造2010年10月24日

枯蓮 鎌倉市大町にて

県の西郊(せいかう)の秋、馬造(ばざう)寄贈(きそう)す  白居易

紫閣峯西淸渭東  紫閣峯(しかくほう)の西 清渭(せいゐ)の東
野煙深處夕陽中  野煙(やえん)深き(ところ) 夕陽(せきやう)(うち)
風荷老葉蕭條綠  風荷(ふうか)老葉(らうえふ)蕭条(せうでう)として緑なり
水蓼殘花寂寞紅  水蓼(すいれう)残花(ざんくわ)寂寞(せきばく)として(くれなゐ)なり
我厭宦遊君失意  我は宦遊(くわんいう)を厭ひ 君は失意す
可憐秋思兩心同  (あはれ)()秋思(しうし) 両心同じ

【通釈】紫閣峰の西、清らかな渭水の東、
野にけぶる靄の奧深く、夕暮の余光の中、
風に靡く蓮の枯葉は物寂しげに緑を残し、
水辺の蓼の残花はひっそりと紅を留めている。
私は役人暮らしに嫌気が差し、君は失意のうちにある。
ああ、秋の愁いは二人心を同じうする。

【語釈】◇紫閣峯 長安の西、陝西省()県の東南にある峰。◇風荷 風に吹かれる蓮。◇水蓼 水辺の蓼。◇宦遊 官吏として暮らすこと。

【補記】盩厔(ちゆうちつ)県の西郊の秋の景を詠み、馬造なる人物(不詳)に贈ったという詩。元和元年(806)、白居易が盩厔県尉となって以後の作。和漢朗詠集巻上「蓮」に第三・四句が引用されている。

【影響を受けた和歌の例】
枯れのこる茎うす赤き?(いぬたで)の腹ばふ庭に霜ふりにける(橘曙覧『志濃夫廼舎歌集』)