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朝露:草木の記録201011022010年11月02日


朝露 鎌倉市二階堂にて

台風がもたらした大雨のなごりで湿気が高く、快晴の今朝は夥しい露が野をきらめかしていた。

犬蓼と朝露 鎌倉市二階堂にて



白氏文集卷五十一 題故元少尹集後二首2010年11月03日

元少尹(げんせうゐん)が集の(あと)に題す二首 白居易

黄壤詎知我  黄壌(くわうじやう)(なん)ぞ我を知らん
白頭徒憶君  白頭(はくとう)(いたづら)に君を(おも)
唯將老年淚  (ただ)老年の涙を(もつ)
一灑故人文  (いつ)に故人の(ぶん)(そそ)

 其二
遺文三十軸  遺文(ゐぶん)三十軸(さんじふぢく)
軸軸金玉聲  軸軸(ぢくぢく)金玉(きんぎよく)の声あり
龍門原上土  龍門(りようもん)原上(げんじやう)(つち)
埋骨不埋名  (ほね)(うづ)むれども名を埋めず

【通釈】黄泉にいる君がどうしてこの世の私を知ろう。
しかし白髪頭の老人はむやみと君を懐かしんでいる。
ただ年老いてもろくなった涙を、
すべて亡き君の文の上にそそいでいる。

其の二
君の遺した書は三十巻。
巻毎に無上の響きを伝える。
君は龍門の原野の土に
骨を埋めたが、名を埋めはしなかった。

【語釈】◇黄壤 冥土。黄泉。◇龍門 山西・陝西両省の境、黄河中流の難所。

【補記】元居敬(763~822)の集の末尾に記した詩二首。元居敬(宗簡)は白居易より九歳年上の旧友で、度々詩を贈答した。和漢朗詠集巻下「文詞 付 遺文」に「其二」全詩が引かれ、特に第三・四句は軍記物や謡曲に多く引用されている。

【影響を受けた和歌の例】
  貫之が集を借りて、返すとてよみ侍ける 恵慶法師
ひと巻に千々(ちぢ)黄金(こがね)をこめたれば人こそなけれ声はのこれり(『後拾遺集』)
  紀時文(ときふみ)がもとにつかはしける 清原元輔
かへしけむ昔の人のたまづさを聞きてぞそそく老の涙は(『後拾遺集』)
  遺文三十軸軸軸金玉声
水ぐきのあとは昔に変はらねば見るに涙のかわく間ぞなき(藤原隆房『朗詠百首』)

櫨:草木の記録201011032010年11月03日


ハゼ 鎌倉市二階堂にて

ハゼ 鎌倉市二階堂にて

早朝裏山に登ると櫨の木が随分色づいていた。ここいらは何故か櫨(植物図鑑によればリュウキュウハゼ)の木が多い。下は道端に生えていた櫨の幼木。

櫨の幼木 鎌倉市二階堂にて


去者日以疎 古詩十九首より2010年11月05日

古詩十九首 十四 作者未詳

去者日以疎  去る者は日に(もつ)(うと)
來者日以親  (きた)る者は日に以て(した)
出郭門直視  郭門(かくもん)を出でて直視すれば
但見丘與墳  ()だ丘と(つか)とを見るのみ
古墓犂爲田  古墓(こぼ)()かれて田と為り
松柏摧爲薪  松柏(しようはく)(くだ)かれて(たきぎ)と為る
白楊多悲風  白楊(はくよう)悲風多く
蕭蕭愁殺人  蕭蕭(せうせう)として人を愁殺(しうさつ)
思還故里閭  (もと)里閭(りりよ)(かへ)らんことを思ひ
欲歸道無因  帰らんと欲するも道()る無し

【通釈】死者は日に日に忘れられ遠い存在となり、
生者は日に日に親しみを増す。
城郭の門を出てまっすぐを見れば、
ただ盛り土した大小の墓があるばかり。
古い墓は鋤き返されて田となり、
常緑の松や檜もいつか砕かれて薪となる。
箱柳に悲しげな風がしきりと吹きつけ、
蕭々と音立てて人を愁いに沈める。
故郷の村里に再び住むことを思い、
帰ろうと願うが、戻るべき道はない。

【語釈】◇松柏 「柏」はカシワでなくヒノキ・サワラ・コノテガシワなど常緑樹の総称。◇白楊 ハコヤナギ。風に葉が鳴るので「山鳴らし」とも言う。ポプラの仲間。

【補記】諺「去る者は日々に疎し」のもととなった詩。和歌では「松柏摧爲薪」や「白楊多悲風」を踏まえた作が見られる。「松柏催爲薪」は劉廷芝の「代悲白頭翁」にも引かれて名高い。

【影響を受けた和歌の例】
下葉すく岸の柳を吹く風の身にしむからに秋ぞかなしき(直仁親王『崇光院仙洞歌合』)
露の間にうつろふ花よさもあらばあれ松もたきぎとなる世なりけり(村田春海『琴後集』)
古里は松もたきぎにくだかれて風のやどりもむなしかりけり(井上文雄『大江戸倭歌集』)

【参考】『徒然草』第三十段
思ひ出でて偲ぶ人あらんほどこそあらめ、そもまたほどなく失せて、聞き伝ふるばかりの末々は、あはれとやは思ふ。さるは、跡とふわざも絶えぬれば、いづれの人と名をだに知らず、年々の春の草のみぞ、心あらん人はあはれと見るべきを、果ては、嵐に咽びし松も千年を待たで薪に摧かれ、古き墳は犂かれて田となりぬ。その形だになくなりぬるぞ悲しき。

鳳仙花:草木の記録201011062010年11月06日

鳳仙花 鎌倉市二階堂にて

近所の沢辺に鳳仙花が咲いていた。

紅葉・黄葉:草木の記録201011072010年11月07日


ドウダンツツジ 鎌倉市二階堂

家の垣根の灯台躑躅(ドウダンツツジ)が紅く色づいた。櫨や楓、七竃など紅葉が鮮やかな木は少なくないが、この深い紅の美しさには並ぶものがないと思う。
裏山では杉林の隙間に生えた柞の樹々が黄に色づき始めていた。

杉林の柞黄葉 鎌倉市二階堂



紅葉:草木の記録201011082010年11月08日


ハゼノキ 鎌倉市二階堂

裏山の櫨の木を五日前とほぼ同じ角度から撮ってみた。紅が濃くなったが、次から次へ散ってしまう。
下は色づき始めた欅。こちらは渋めの紅だが、全木紅葉するとなかなか見事だ。

ケヤキ 鎌倉市二階堂



落葉:草木の記録201011092010年11月09日


落葉 鎌倉市二階堂

明け方、風が激しかったので、山に入った。

落葉と川 鎌倉市二階堂



楓:草木の記録201011092010年11月10日


カエデの紅葉 神奈川県鎌倉市

裏庭の楓が色づき始めている。昨日(9日)夕撮影。

カエデの紅葉 神奈川県鎌倉市


裏庭:草木の記録201011112010年11月11日


カエデ 神奈川県鎌倉市

小春日和が続く。色づく楓の下で、山茶花や石蕗など初冬の花が咲いて、裏庭は一年で最も華やかな季節を迎えた。

サザンカ 神奈川県鎌倉市

ツワブキ 神奈川県鎌倉市