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拾遺愚草全注釈と藤川百首について2012年12月04日

『拾遺愚草』の全注釈は平成十二年頃から二十一年にかけてこつこつ書き溜めたものです。途中からころころ方針が変わったりしているので、様々な面で不統一があるのですが、当ブログには取りあえずそのままコピーして連載しております。
最後の「藤川百首」ではいわゆる注釈形式をやめ、評釈風の一聯の文章とする書き方を試みております(加藤楸邨の『芭蕉全句』の模倣です)。さらに不統一を重ねて体裁が悪いのですが、書き直す時間もないので、以前書いたままを掲載します。

『拾遺愚草』全注釈を終えて2012年12月04日

冷泉家時雨亭叢書 拾遺愚草中下(定家自筆本の影印)

足掛け三年にわたる連載がやっと終わりました。
特に最初の方などは随分昔に書いたもので、読み返すと不満や羞恥が噴出してきます。しかし書き直しを始めるときりがないので、誤字の訂正など最小限の手直しに留めました。今後、じっくり推敲したいと思っています。

『拾遺愚草』は今に至るも全注釈書が存在しませんが、久保田淳氏による現代語訳を主として最少限の注を添えた『訳注藤原定家全歌集』上下二巻があり、定家研究史上の偉業です。もちろん私も学ぶところが大きかったのですが、私の「全注釈」では久保田氏のと異なる解釈をしている歌が多いので、関心のある方は読み比べて頂ければと思います。

連載中は少数ながら応援のメールを頂き、どれほど励みになったか知れません。改めましてここにお礼申し上げます。

最初の記事(2010.4.22)

今後は「千人万首」や「和歌歳時記」、あるいは「百人一首」関連のコンテンツなどの完成を目指して、またこつこつとやって行こうと思っています。ただウェブサイトの方はプロバイダからサービスで提供されている容量の限度に達してしまいましたので、やはりブログの方を主としてやって行くことになるかも知れません。

お知らせ 『新訂 拾遺愚草』を改訂しました。2012年12月18日

霜の花

DL-MARKETの新訂 拾遺愚草を改訂しましたのでお知らせします。
906番歌の「かげぞあらそふ」が「かげそあらそふ」と誤っておりました。また、解題の総歌数「二八八六首」は「二八八四首」の誤りでした。この二箇所の訂正です。再ダウンロードして頂けると幸いです。
拾遺愚草 原文編は変更ありません。

サンプルをご覧になりたい方は下記URLをクリックして下さい。

http://www.asahi-net.or.jp/~SG2H-YMST/yamatouta/teika/gusou_sample2.pdf

kindle paperwhite2012年12月22日

昨日、待望のkindle paperwhiteが届いた。当初の予定が二週間ほど早まっての配達。
持ってみると本当に文庫本ほどのサイズと重さだ。本体下部にUSBケーブルの差し込み口と電源ボタンがあるだけというシンプルな作り。

私が買ったのは3GがついていないWi-Fiモデル。Wi-Fi設定はあっけないほど簡単だった。詳細は不明なれど、kindleが勝手に家庭内無線LANから検知してくれたようで、何度かボタンを押す――でなく画面をタップするだけでネットワークにつながった。早速kindleストアで無料の本をいくつかダウンロードしてみる。
電子ペーパーにEインクで表示される本は、本当に紙の本と変わらない見やすさだ。老眼の進みつつある私は、フォントサイズをやや大きめにする。

写真は鷗外の「寒山拾得」。青空文庫提供の無料本だ。カメラの腕が拙くて文字がぼけてしまったけれど、実際はもっと鮮明に見える。
使っていてちょっと気になるのは、多くのユーザーが指摘するように、改頁の際に画面が一瞬反転すること。それと画面上に現われるキーボードの使いづらさ。スペース上致し方ないこととは言え…。キーワード検索などにはこのキーボードを使わざるを得ないようなので、慣れるしかなさそうだ。

次に付属のUSBケーブルでパソコンにつなぎ、ハードディスクにあるPDF文書を転送してみる。これらはkindleには「パーソナル・ドキュメント」として登録される。
PDFも綺麗に読める。下の写真は、kindleのために用紙をB5に改めて作成した『拾遺愚草』のPDF文書。A4だと文字が小さすぎて読みづらいという話を聞いていたので、予め作っておいたもの。

さてkindleの電子ブックリーダーとしての大きな問題点は、電子書籍の主要フォーマットとなりつつあるEPUBの本が読めないことだ。代りにAZW3という独自フォーマットを採用しているのだが、kindle-genというフリーのアプリケーションが用意されていて、これを使えばEPUBをAZW3(正しくは保護されていないmobiファイル?)に変換してくれる。
自作のEPUB文書『拾遺愚草』をkindleの独自フォーマットに変換した上でパソコンからkindleに転送してみると、やはり「パーソナル・ドキュメント」として登録されていた。

ルビもきれいに振れている。返り点を付けた漢文も問題なし。ただ英数字の縦中横は駄目。EPUB3は縦中横に対応したのだが、kindleは未対応なのだろうか。

ライトが内蔵されているので、kindleは暗い場所でも読める。床についたあと、ベッドサイドランプをつけずにkindleで読書してみたが、電灯下で読む紙の本に比べて特に目の疲れを覚えることはなかった。思った以上に使えそうだ。

追記:色々読んでいると、3桁までの数字なら縦中横になるようだ。昭和34年の「34」とか、「'90」とか、半角の数字や記号が縦書の中でちゃんと横に並んで――つまり正立している。4桁以上になると寝たまま積み重なってしまうのだ。(12月27日)