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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』京都附近6 洛西(北野神社~三尾)2015年03月06日

清滝川 右京区嵯峨清滝町

北野神社

菅原道真を祀る。

鷲尾潜

今出川紙凧たこあぐる子に風寒し北野の宮の紅梅の花

岡田道一

大前のうす紅梅は咲きそめて古りし蔀に春の日のさす

金閣寺

足利氏経営の古寺。林泉頗よし。

石松東雄

小坊師が案内あないの声もかれはてて春の日ひくし衣笠の山

新井洸

たそがれの衣笠山のかげ冷ゆる池の面の黄の落葉はも

衣笠山

金閣寺背後の山。

八田知紀

佐保姫のうすみどりなる霞もてぬひあらためし衣笠の山

金子龍子

初雪を京にて見たりうれしくも衣笠山の初雪を見つ

並が岡

兼好法師閑居の地。

熊谷直好

朝日さすならびの岡の松の上になきかはしたる鶯のこゑ

門野珠子

ここにして筆をとりけむそのかみのおもかげうかぶ松風の声

御室

京都の西郊。

高橋捨六

仁清のむかしこひしみ春三月やよひ花の御室に窯跡かまあととひぬ

村田清子

京の春旅のをはりにちる花の中にまじりて仁和寺に来ぬ

鷹が峰

京都の西北鷹が峰に光悦の旧蹟あり。

加藤正義

鷹が峰苔むす庭の老松よ君がありけむ昔かたらへ

安田靫彦

光悦が窯師とかたるみなみ窓金泥皿にとけ入る朝日

ふうわりと月のぼりけり鷹が峰光悦村に見ゆる窯の火

左右田翠松

陶工すゑつくりよくやけたりし陶器すゑもののあけぼのの色を見つゝみをり

友野伴見

春雨のしとしととそゝぐ鷹が峰光悦の墓に白椿落つ

三尾さんび

高雄、槙尾まきのを栂尾とがのををいふ。紅葉の勝地。いづれも清滝川に臨めり。

藤原俊成

いはばしる水の白玉数見えて清滝川にすめる月かな

西行

降りつみし高嶺のみ雪とけにけり清滝川の水の白浪

香川景樹

筏おろす清滝川の滝つ瀬に散りてながるゝ山吹のはな

原三渓

清滝の竹むらつづき山の家に鶯きかむ初春に来て

原田照子

高尾山山をうづむる紅に清滝川も色染めにけり

高尾
吉井勇

君とする土器かはらけ投げの遊びさへいかに嬉しきものとかは知る

高尾ゆきのその帰り路は雨も晴れ星いでそめぬ京に入る頃

高田雪子

幾度か晴れくもる日に色かはる高尾の山の木々のもみぢ葉

補録

北野神社

永享九年正月一日、北野参詣よみ侍る
下冷泉持為

春ながら今年の空は初雪にふりはへ神のめぐみをや見ん

足利尊氏

神垣やあたり間ぢかく匂ふなり北野の宮の梅の下風

冷泉為村

雪とくる北野の宮居のどかにて春のめぐみに霞みそむらん

加藤千蔭

南より先づ咲きそめて日数ふる北野の梅ぞさかりひさしき

金閣寺

与謝野晶子

金閣寺北山殿の林泉にいつ忍び入り咲ける野薔薇ぞ

佐藤佐太郎

池の水ひろく湛へて金閣の廂の金はかがよひにけり

衣笠山

後水尾院

とはばやな衣笠岡の秋の色をきてみよとこそ鹿もなくらめ

並が岡

河内

思ふどちならびの岡の坪菫つぼすみれうらやましくも匂ふ花かな

建礼門院右京大夫

おぼつかな並の岡の名のみしてひとりすみれの花ぞ露けき

後宇多院

色々にならびの岡の初もみぢ秋の嵯峨野のゆききにぞ見る

ならびの岡に無常所まうけて、かたはらに桜を植ゑさすとて

吉田兼好

ちぎりおく花とならびの岡のべにあはれいくよの春をすぐさむ

御室

藤原定家

神さびていはふ御室の年ふりてなほ木綿ゆふかくる松の白雪

若山牧水

松の実や楓の花や仁和寺の夏なほ若し山ほととぎす

三尾

清滝川
神退

清滝の瀬々の白糸くりためて山分け衣織りて着ましを

源国信

岩根こす清滝河のはやければ波折りかくる岸の山吹

俊恵

筏おろす清滝川にすむ月は棹にさはらぬ氷なりけり

藤原定家

秋の水清滝川の夕日かげ木の葉もうかずくもるばかりは

千種有功

水上の高嶺の雪も今日とけて清滝川に春風ぞ吹く

与謝野晶子

ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清滝夜の明けやすき

高雄
後土御門院

なる神の音は高雄の山ながらあたごの峰にかかる夕立

栂尾
加納諸平

なべて世にかをりみちたる木の芽かな栂の尾山に植ゑ継ぎしより

大田垣蓮月

一枝も手折らばうけん栂尾の落葉はゆるせ秋の山守

中村憲吉

夕づきて川べにたかき栂の尾寺黄葉もみぢの谷にもやかかりたる

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