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新刊のお知らせ 松風集・琉球の五偉人2015年08月17日

琉球の五偉人表紙 程順則の肖像

Amazonより電子書籍を刊行しましたのでお知らせ申し上げます。
先日当ブログで紹介しました宜野湾朝保の家集『松風集』と、この朝保を偉人の一人と讃えた伊波普猷・真境名安興著『琉球の五偉人』の二冊です。下の画像をクリックするとAmazonの商品詳細ページに移動します。

『松風集』は明治23年個人出版されたものが原本になります。以後長く復刻されることもなく、歌人の朝保も忘れられた存在になりつつあるようでした。先年、沖縄のひるぎ社より『近世沖縄和歌集』が刊行され、『松風集』の翻刻テキストも収録されたのですが、幾つか誤刻があり(注)、また注釈なども一切附いておりませんので、今回正確なテキストを作り、語釈を附して電子書籍として復刊した次第です。
幕末頃から戦前にかけて沖縄では伝統和歌の創作が盛んだったようですが、その土壌を作ったのが宜野湾朝保その人だったと言っても過言ではないでしょう。内地の歌人と比較しても、同時代にこれほどすぐれた歌人はあまりいないことは、ブログで引用した幾つかの歌からもお判り頂けるかと思います。

『琉球の五偉人』は大正五年に沖縄で出版された本が原本になります。朝保の事蹟を調べる中で出逢った本でしたが、非常に感銘を受けました。伊波普猷による「三偉人とその背景」(本書の前半部をなします)は、近世琉球の歴史を背景に、偉人達の活躍と苦悩を活写しています。その一人宜野湾(宜湾)朝保については、島津藩による支配という「一種の奴隷制度」から琉球を解放した政治家として高く評価しました。
『伊波普猷全集』第七巻に「琉球の五偉人」の名で収録されているのですが、他書と内容が重複しているため、ほとんどの章が割愛されてしまっています。その殆どは同全集の第二巻で読むことができるものの、ばらばらに収録されているので、一冊の本としては読めない現状です。新書や文庫にも入っていないのは大変残念で、沖縄問題が焦眉の課題とされている現在なおさら多くの方に読んで頂きたいと、電子書籍化したものです。


関連書籍


(注)近世沖縄和歌集収録の松風集の誤刻(数字は歌番号)
206 者× 物○
226 ほととぎす× ほとゝぎす○
281 夕火かげ× 夕日かげ
418 松の× 松に○
495 いづれは× いづれば○(これは翻刻者の誤読に基づくもの)
542 嘆き× 歎き○
615 嘆き× 歎き○
(歎は嘆の旧字でも異体字でもない)

翻刻者の方の名誉のために附言しますと、この程度の誤刻は専門の学者の本でも普通にあるもので、この本などはむしろ非常にすぐれた翻刻の部類に入ると思います。

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