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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線6 因幡山2016年08月09日

因幡国庁跡

因幡国庁跡より因幡山を望む。

補録

因幡山

鳥取県鳥取市国府町の小山。稲羽山、稲葉山とも書く。国庁跡の東北。ただし在原行平の歌の「いなばの山」は固有名詞でなく「因幡の国の山」と見る説もあり、また『歌枕名寄』など中世の歌学書は美濃国の歌枕としている。

在原行平「古今集」

立ちわかれいなばの山の峰におふるまつとしきかば今かへりこむ

慈円

嶺の松も裾野の萩もなびききていなばの山はただ秋の風

藤原定家「新古今集」

忘れなむまつとな告げそ中々にいなばの山の峰の秋風

源具親

いかでかは待つともきかんはるばるといなばの山の峰の秋風

伏見院「新千載集」

都人まつとしきかば言伝てよ独りいなばの嶺の嵐に

冷泉為尹

嵐ふく峰の霞のたちわかれいな葉の山の松ぞ見えゆく

尭孝

峰に生ふる松吹きこしていなば山月の桂にかへる秋風

因幡国庁跡

鳥取市国府町。天平宝字三年(759)正月一日、因幡守であった大伴家持が因幡国庁で詠んだ一首は万葉集の巻末歌。

大伴家持「万葉集」

あらたしき年のはじめの初春のけふ降る雪のいやしけ吉言よごと

佐佐木信綱

ふる雪のいやしけ吉事よごとここにしてうたひあげけむ言ほぎの歌