佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線10 安養寺・米子 ― 2016年08月18日
米子城跡より米子市街と日本海を望む。
安養寺
日野川の鉄橋より上流十町あまりの左岸にあり。後醍醐天皇の皇女瓊子内親王の御墓あり。
元弘のはじめつかた、世の中みだりがはしく侍りしに、思ひわび、さまなどかへけるよしききて、瓊子内親王もとへ申しつかはしける
いかでなほわれもうき世をそむきなむ羨しきは墨染の袖
返し
瓊子内親王
君は猶そむきなはてそとにかくに定めなき世の定めなければ
米子
中海に面して夜見半島の頭部を占む。法成寺に連理の松あり。
帯のよな米子の街と誰かいひし月になりゆく久米の城山
日本海に入日沈めばあかあかと裾野をかけて雲の峰映ゆ
大山の裾野よぎりて夕風は錦の海にさざなみたたす
補録
米子
天主台のぼりてみれば霧はれて波路はるかに隠岐のしまみゆ
米子市にて
昭和天皇
あまたなるいか釣り舟の漁火は夜のうなばらにかがやきて見ゆ
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