佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線16 出雲大社 ― 2016年10月12日
出雲大社
杵築駅より十二町。(注:現在では一畑電鉄大社線の出雲大社前駅が最寄駅である。)
八色雲今もたなびく心地して仰ぐもかしこ大き御社
大神に詣でししるしまが玉の赤きは妹に白きは吾に
補録
出雲の大社に詣でて見侍りければ、天雲たなびく山のなかばまでかたそぎの見えけるなむ、この世のこととも思ほえざりけるによめる
やはらぐる光や空にみちぬらむ雲に分け入る千木の片そぎ
出雲大社に人々のよみて奉る三十一首のうち、初春といふ題にてよみて奉りける
立ちかへり春はきづきの宮柱あふぐ軒端も霞みそめつつ
初秋の真砂の上を照らす日も神のみ前は尊きろかも
十七日、出雲の杵築にいたり大社に賽す、其の本殿の構造、簡易にして素朴なれどもしかもこれを仰ぐに、彼の大国主の天の瓊矛を杖いて草昧の民の上に君臨せる俤を只今目前にみるのおもひあり
久方の天が下には言絶えて嘆きたふとび誰かあふがざらむ
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線17 出雲・出雲路 ― 2016年10月14日
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線18 稲佐の浜 ― 2016年10月16日
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線19 日御碕神社 ― 2016年10月17日
日御碕
杵築より二里二十町。西南一帯日本海に面せり。
かしこみと岬の社をろがむか島の鷗の皆こちらむく
補録
島根県出雲市大社町。島根半島西端の岬。小島や奇岩などの見られる景勝地。近くの経島は古来神事の行われる無人島で、また海猫の繁殖地。附近の海底では祭祀場跡らしき遺跡の発見が報告されている。
出雲路の西のはたてに立ちけらし深く曇れる海に真向ふ
松生ふる磯山来れば時じくに海猫といふ鷗鳴きたり
秋の果の碕の浜のみやしろにをろがみ祈る世のたひらぎを
風あらき島にむらがる海猫のおほよそにして白く光れる
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