佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州12 志賀島 ― 2017年03月01日
志賀島(提供:福岡市)
補録
志賀島
福岡市東区。海の中道によって陸続きになっている島。万葉集にはこの島を詠んだ歌が二十数首あり、殊に海人で名高かったことが知られる。金印出土を記念する金印公園、元寇の際に処刑された蒙古の兵士を供養する蒙古塚などがある。
覊旅作
作者未詳(万葉集)
志賀の海人の塩焼く煙風をいたみ立ちは上らず山にたなびく
筑紫の館に到り遥かに本郷を望み悽愴しみて作れる歌
志賀の浦に漁りする海人家人の待ち恋ふらむに明かし釣る魚
可之布江に鶴鳴き渡る志賀の浦に沖つ白波立ちし来らしも
筑前国の志賀の白水郎の歌
志賀の山いたくな伐りそ荒雄らがよすかの山と見つつ偲はむ
筑紫のしかの島をみてよめる
僧仙舟
もののふの灯しとのみも見ゆるかな志賀の島なる海人のいさり火
さやさやとつばさ並みゆく夕鳥は志賀のしままで行くにやあらむ
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