佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州28 竃門山 ― 2017年05月07日
竃門山山頂の大岩
補録
竃門山(竈戸山)
福岡県筑紫野市と太宰府市にまたがる山。宝満山・御笠山とも。太宰府天満宮の後方にあたる。山頂に巨石があり、竈門神社の上宮を祀る。古歌では、「かまど」の名に因み煙(雲霧)や火を詠むことが多かった。
筑紫へまかりける時に、かまど山のもとにやどりて侍りけるに、道づらに侍りける木に古く書き付けて侍りける
春はもえ秋はこがるるかまど山
かすみも霧もけぶりとぞ見る
(注:古歌に元輔が付句した連歌)
かまど山雪はひまなくふりしけど火の気をちかみ溜らざりけり
安楽寺に参りて、かまどの山の煙を見て
橘為仲
まだ知らぬ人の見るべきしるしにや竈門の山に煙立つらむ
暁の山の雪、筑紫にて
大江匡房
かまど山また夜をこめてふりつもる峰の白雪明けてこそ見め
朱桜
道信法師
散るたびに燃えこがれても惜しけきは竈門山なる火桜の花
かまど山といふ山へはるばるとあがるに、社頭あり、一首はしらに書きつけし
ここも又煙を空に竈戸山麓の里も民ぞにぎはふ
たちつづく雲を千里の煙にてにぎはふ民のかまど山かな
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