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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州41 有田2017年08月01日

佐賀県有田町のトンバイ塀

有田町上有田地区。トンバイ塀――耐火煉瓦(トンバイ)の廃材や陶片などを赤土で塗り固めた塀――が続く。

有田

長崎本線の上有田駅所在地。有田焼の産地。元和年中帰化韓人金江参平、多久より移りて創むるところ。(注:佐賀県西部、西松浦郡有田町。上有田駅は現在は佐世保線の駅。)

 

北村幽渓

山のはざま一すぢ町に立つ煙とつ国までもなびくなりけり

補録

中島哀浪

しらたまの有田の陶にまむかへばこころはぎぬあはれ白珠しらたま

鹿児島寿蔵

の国の窯場かまばの山に梅雨どきのあらき風ふき雲くだりくる

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州42 有明海(筑紫潟)2017年08月03日

有明海 佐賀県

大魚おおうお神社の海中鳥居。佐賀県藤津郡太良たら町。

補録

有明海

九州北西部にある内海。福岡・佐賀・長崎・熊本四県にまたがる広大な干潟をなす。南は島原湾・八代海(不知火海)、西は天草灘とつながる。旧名とされる「筑紫潟」は、九州地方の他の浅海にも用いられた名で、必ずしも有明海を指す固有名ではない。

 

立秋
大内政弘

都にはまだ夏なれや筑紫がた西さへけふぞ秋の初風

中島哀浪

筑紫潟あしの芽立ちのはつはつに牡蠣は産卵をはじめしならむ

一月初旬より二月初旬にかけ、九州の沿岸を一周せり

若山牧水

風たてば有明の海は大いなる白き瀬となるわが小蒸汽船よ

長沢美津

有明の海より空にふきあぐる風がきりゆく雲のさかまき

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州43 佐世保2017年08月07日

佐世保市 九十九島

展海峰より南九十九島を望む

佐世保

佐世保湾の奥に位す。明治二十七八年役、同三十七八年役に我が艦隊の根拠地となりしところ。(注:「役」はそれぞれ日清・日露戦争のこと。長崎県佐世保市。佐世保駅はJR佐世保線の終着駅。軍港・造船の町として知られるが、リアス式海岸の景観美に恵まれ、九十九島くじゆうくしまなどの観光名所がある。)

 

川田順

御艦みふね皆ふなよそひして時まてる佐世保の海の冬の夜の月

赤堀信成

遠く征く御軍艦みいくさぶねの朝びらき佐世保のみなと海もとどろに

補録

中島哀浪

きならす鐘のひびきのをどむらし真下の海の春の青潮

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州44 大村2017年08月10日

大村公園

大村公園 玖島城板敷き櫓と桜

補録

大村

長崎県大村市。多良山の西、大村湾の東に位置する。大村藩の城下町として発展し、廃藩置県により大村県が置かれたが、その後長崎県に統合された。JR九州大村線が通る。大村藩の居城であった玖島城の跡は大村公園として整備され、大村桜で名高い桜の名所。同所には藩祖とされる藤原純友を祀る大村神社もある。

 

里花
大隈言道

わがやどる竹の下道みち折れてむかへば花のおほむらの里

(「おほむら」に「多」の意を掛ける。大村の地名は他にも少なからずあり、この歌の「おほむらの里」が具体的にどこを指すのかは不明。)

東一雄

春の日の心おだしも海の緑さくらの並樹見つつ語れば

新刊のお知らせ 戦国時代和歌集(電子復刻・注釈付)2017年08月26日

戦国時代和歌集

アマゾンkindleにて、川田順著『戦国時代和歌集(電子復刻・注釈付)』を発売しましたのでお知らせ申し上げます。

原本は戦時中の出版ゆえ紙質は粗悪なのですが、戦後再版も復刻もされなかったためか、古書は珍重され、結構高額で取引されているようです。

書名から戦国武将・武人の勇ましい歌を期待すると、落胆されることと思います。ほとんどは二条家流の麗しい花鳥諷詠なのです。しかし中には戦場での経験が基となったと思われる歌や、傷ましかったり潔かったりする辞世などもあります。

野伏のぶしする鎧の袖も楯のもみなしろたへのけさの初雪 上杉謙信
犬追物いぬおふもの今ひとたびと思ひ来しあらましは只いたづらにこそ 細川高国

上の表紙画像をクリックすると商品詳細ページに移動しますので、詳しくはそちらをご覧下さい。

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