佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州54 別府 ― 2018年01月10日
川瀬巴水画「別府温泉」
別府温泉
別府駅所在地。古来八湯の名あり。〔注:大分県別府市。古くからの温泉地で、『豊後国風土記』に「赤湯の泉」の記事があり、今言う「血の池地獄」のことであろうと言う。JR九州日豊本線の別府駅前から温泉街が広がる。〕
日のいでを鍪にふせて四極山いでゆの町は霧に眠れり
〔注:四極山は高崎山の旧称。兜のような形をしている。次項参照。〕
目もはろにうちひらけ見ゆ別府の海国東の山はほの霞みつつ
補録
遠つ国ゆ捕はれ来つる歎をも知らざるごとしわにの面わの
血の池の地獄のうへにひつたりとかぶさりて秋のさやけき青空
いかし ゆ の あふるる なか に もろあし を ゆたけく のべて もの おもひ も なし
〔注:「いかしゆ」は「厳し湯」、大量の湯。〕
やはらかき湯気に身を置く我もよしこよひおぼろの月影もよし
わたつ海の沖に火燃ゆる火の国に我あり誰そや思はれ人は
〔注:歌集『幻の華』冒頭歌。宮崎龍介との出逢いの場であった別府赤銅御殿の跡地に、この歌の碑が建てられている。〕
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