1月の新刊のお知らせ ― 2018年02月05日
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州55 四極山 ― 2018年02月17日
補録
四極山(高崎山)
大分県大分市の西端、別府市との境にある山。別府湾に面す。野生のニホンザルが生息し、高崎山自然動物園で餌付けがされている。万葉集に詠まれた「四極山」は摂津国住吉辺りの丘陵かと見る説が現在は有力であるが、中世の歌枕書では豊前国の歌枕としており、高崎山に比定されよう。「柴津山」とも書き、古歌では楢の葉の名所とされた。
高市連黒人の羈旅歌(万葉集)
四極山打ち越え見れば笠縫の島こぎかくる棚なし小舟しはつ山楢の若葉に漏る月の影さゆるまで夜は更けにけり
しはつ山風吹きすさぶ楢の葉にたえだえ残る日ぐらしの声
しはつ山楢の下葉を折り敷きて今宵はさ寝ん都恋しみ
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州56 由布岳 ― 2018年02月18日
補録
由布岳
大分県由布市にある火山。樹氷で知られる。万葉集に「木綿山」と見え、和歌では雪の名所とされた。
思ひ出づる時はすべなみ豊国の木綿山雪の消ぬべく思ほゆ
乙女らが放りの髪を木綿の山雲な棚引き家のあたり見む
神代より多くの年の雪つもり白くも見ゆる由布の岳かな
神垣に誰が手向とは知らねども卯の花咲ける由布の山かげ
万代に神さびたてる由布の山そら行く雲も麓なりけり
われは浴ぶ由布の御岳の高原に銀柳の葉のちりそめし秋
由布院の宿の夜あけやくれなゐにやまを染めつつよこたふ白雲
ふりさけてみれば由布嶽鶴見嶽雲をかづきてならびかかれり
由布山にかかる笠雲今日の日の旅のなごりとおもひつつ見む
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