佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州58 阿蘇山 ― 2018年03月18日
阿蘇中岳
阿蘇山
熊本の東方に聳ゆ。宮地線によりて近づくべし。(注:宮地線は現在はJR豊肥本線の一部として運行。また山の南側は南阿蘇鉄道高森線が通る。なお「草千里」「阿蘇(阿蘇の里)」は別項。)
けぶり見ゆ阿蘇の裾野をわが乗れる車の馬のたつ髪のまへに
大空に紫の花朱の花ゆふ日にけむる阿蘇の山脈
あまくさの海の彼方にうすづく日静かに照れり神のけぶりに
補録
世にわびて波たちまちに過ぐなれど阿蘇の御池に幣たてまつる
今はとてしものはふり子いとまあれや阿蘇の御山に雪のつもれる
この歌は、宇佐の使にてくだり侍りける時、あその社にまうでて雪のつもれるをみてよめると云云
のこらむは片野の木の葉木枯らしの夕刈りすつる阿蘇の山風
人いまだ生れず神と鬼とのみ住みけむ世よりもゆる山かも
大阿蘇の渓谷ふかし秋風にさびしきうたをうたふ水かな
阿蘇平風なき昼も御空より薄を圧して白き灰降る
阿蘇ゆけば悲しき愛しき人の世も我が全身に汗して忘る
のぼりゆく高原の秋の夕晴にさやけく白く阿蘇の山みゆ
ひたもえにもえにぞもえて阿蘇の山ひと木をだにも生ひしめぬかな
麓野の国にすまへる万人を軒に立たせて阿蘇荒るるかな
君にちかふ阿蘇の煙のたゆるとも万葉集の歌ほろぶとも
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