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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州87 開聞岳2019年07月09日

開聞岳

補録

開聞岳かいもんだけ

鹿児島県指宿市。薩摩半島の最南端に位置する、円錐形の火山。別名薩摩富士。南麓は海に面し、北麓には池田湖がある。

 

与謝野寛

その肩に光るつばさと見るばかり白き雲立つ開聞がたけ

与謝野晶子

海よりもこれはいと濃きあゐにして海より起る開聞が岳

斎藤茂吉

大きなるみづうみありと思ひきや開聞かいもんたけうつるなりとふ

牧暁村

如月のけふまぎれなき春霞開聞岳はほのぼのと見ゆ

佐藤佐太郎

南端の海しづかにて秋の日は開聞岳かいもんだけのかたはらにあり

新刊のお知らせ 新古今和歌集(現代語訳・評釈付)2019年07月10日

窪田空穂『新古今和歌集評釈』

久々の新刊は『新古今和歌集(現代語訳・評釈付)』です。
窪田空穂『完本 新古今和歌集評釈』を原著とし、ここから、全歌の本文・現代語訳・評釈を抜き出した電子書籍です。語釈等は一部のみ収録しています。
同じ空穂先生の『古今和歌集評釈』を原著とする『古今和歌集(全現代語訳付)』では「評(評釈)」のほとんどを割愛してしまったのですが、今回は難解な歌が多い新古今集ということで、歌の作意などを詳しく解説する「評」を全て収めたものです。古説の検討からなる「評又」の項目はほぼ割愛しました。

伝聞推定の助動詞「なり」を詠歎とするなど、現在では否定されている旧説を僅かながら含みますので、その点は「補注」を加えて指摘してあります。また現在有力とされる説と異なる解釈がされている場合も、補注を加えるようにしました。

今もじゅうぶん「現役」として通用する、というよりも、文芸性の高い「評釈」の豊かに充実している点では、今なお追随を許さない新古今集評釈書だと思います。

【関連書籍】

新刊のお知らせ 歌集『流転』『地平線』2019年07月14日

柳原白蓮の第四歌集『流転』・第五歌集『地平線』を刊行しました。これで全五冊が揃いました。

前者は著者四十三歳の出版。幼児二人を育てつつ、夫の政治運動を助け、執筆で家計を支えるという、息つく暇もなかったであろう生活の中から生まれた歌々で、作品の質は白蓮の歌集の中では劣ります。しかしユーモアと優しさと愛にあふれ、そして地下水のように流れ続ける深い愁いが印象的です。

後者は七十歳の出版です。戦死した息子を悼む「悲母」の歌々には言葉もありません。出版から十年以上前に詠まれたもので、公刊までにこれだけの歳月が必要だったのかと思うと、また感慨を覚えます。

『流転』より
思ひきや月も流転のかげぞかしわがこしかたに何をなげかむ
傍らに吾子といふもの眠らせて女子をなごさちを知りそめぬわれ
犬の子と猫とひよこと生きものゝ友をあつめて児は遊び居り

『地平線』より
海見れば海の悲しさ山みれば山の寂しさ身のおきどなき
わが肩に子がおきし手の重さをばふと思ひいづる夏の日の雨
孫の手に蝉をなかせて世の限り忘れぬ思ひはるかなるかも

なお、本日夕方5時より白蓮の最初の歌集『踏絵』の無料キャンペーンが始まります。Kindle unlimited の会員でない方でも無料で購入頂けますので、この機会にぜひどうぞ。

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州88 歎きの杜2019年07月16日

補録

歎きのもり

 

霧島市隼人町の蛭子ひるこ(蛭児)神社の境内にある森。イザナギ・イザナミ二神から生まれた蛭子が船で流されここに漂着したが、その船から枝葉が茂り森になったといい、蛭子の脚が立たなかったことを二神が歎いたことから「歎きの森」の名が付いたという(三国名勝図絵)。時鳥などの名所とされた。

 

讃岐(古今集)

ねぎ事をさのみ聞きけむやしろこそはてはなげきのもりとなるらめ

無き名たちて歎きける頃よめる
橘俊宗女(金葉集)

いかにせんなげきの杜はしげけれど木の間の月のかくれなきよを

源通光

神さぶるなげきの森の時鳥ひくしめ縄もなくなくや来し

寄杜恋を
藤原秀茂(新続古今集)

かれにけり人の心の秋風にはてはなげきの森のことのは

宗尊親王

いつまでか変はらぬかげと頼みこしはてはなげきの杜の下草

宗良親王

花にあかぬなげきの杜はこれなれや嵐吹きたつけふの夕暮

「大典 奉祝の芸能」を観覧2019年07月21日

能 大典

昨日、横浜能楽堂で「大典 奉祝の芸能」第2日を観て来ました。令和の天皇即位を祝しての特別企画公演です。秋篠宮皇嗣妃殿下つまり紀子様をお迎えしての鑑賞でした。

「大典」というのは、大正天皇即位大典を記念して皇居内の舞台で初演された能です。藤代禎輔作詞・観世左近元滋作曲。平成天皇ご即位の時以来、30年ぶりの公演になるそうです。

平安神宮において即位大典の奉告祭を済ませると、天津神が現われ、即位を祝して神舞を舞う、という内容です。今回は法政大学名誉教授西野春雄氏が「補綴・監修」(公演パンフレットより)されたとのことで、場所が伊勢神宮に改められ、詞章にも変更が加えられていました。

天女の舞と天つ神の神舞が予想以上に見応えあり、両者が交錯する場面などもあって、大変華やかな舞台でした。

 

前半は邦楽で、いずれもめでたい演目です。

■尺八古典本曲「鶴之巣籠」
■地歌「難波獅子」
■箏曲「五月晴」
■復曲狂言 大蔵流「鷺」
 山本則秀、山本則重
 杉市和(笛)
■能 観世流「大典」
 片山九郎右衛門(シテ)
 味方玄(ツレ)
 宝生欣哉(ワキ)、則久英志・宝生尚哉(ワキツレ)
 杉市和(笛)、成田達志(小鼓)
 亀井広忠(大鼓)、前川光範(太鼓)

 

狂言「鷺」も珍しい演し物。五位鷺の命名の由来を面白く演じたもので、白一色の装束をまとった鷺の舞が見事でした。

妻の希望から観に行くことになったのですが、令和元年の大変良い記念になりました。

「大典」は10月20日にも観世能楽堂で公演があります(まだ残席あるようです)。また8月12日の大阪薪能では仕舞として演じられるとのことです。