新刊のお知らせ 大田垣蓮月全歌集 ― 2019年09月12日
村上素道篇『蓮月尼全集』の和歌篇を電子書籍化したものです(消息篇・伝記篇の電子化は未定です)。
「海人の刈藻」と「拾遺」歌集、それに増補復刻版(思文閣刊)に影印と翻刻が収録された「蓮月歌集」「花くらべ」も加え、蓮月の全歌890余首を収めました。漢字は新字体に改めてあります。
「蓮月歌集」は蓮月手控えの歌集であったらしく、ほとんどは「海人の刈藻」「拾遺」に既出の歌です。未見の歌は私の数えたところでは23首でした。草花の画帖「花くらべ」は全て既出の歌です。
世に知られる名歌は「海人の刈藻」に含まれますが、「拾遺」にも面白い歌が少なくありません。蓮月が西郷隆盛に送り、江戸城無血開城を導いたとも言われる歌もこの「拾遺」に含まれています。
戊辰のはじめ事ありしをり
うつ人もうたるる人もこころせよおなじ御国の御民ならずや
あだみかたかつもまくるも哀なりおなじ御国の人とおもへば
史実かどうかは私にはよくわかりませんが、伝説だとしても蓮月尼にふさわしい話だと思います。幕末京都に降り立った観音様みたいな人でしたから。
ところで私の住む鎌倉二階堂地区は台風15号の影響で猛暑の中3日間停電、昨夕ようやく復旧しました。「もう限界」と思っていた頃だったので、本当にほっとしました。今なお停電の続く地域の方々を思うと心が痛みます。
鎌倉は中心部がさしたる被害を受けず、一部の住宅地のみの停電・断水被害でした。ですから食料などはいくらでも買いに行けたのですが、暑さには参ったので、ノートパソコンを持って、街なかのカフェに避難していました。無料でWi-Fiが使え、電源・USBコンセント備え付けの店が近所にあったので、仕事をするのにさほど支障ありませんでした。
大変だったのは漫画家をやっている妻。貸し会議室やカラオケ店、貸しマンションなどをアシスタントさん達と転々、今朝やっと帰宅です。
私は夜は自宅のバルコニーで籐椅子に寝そべりながら、秋の月を眺めて暑さをやり過ごしていました。蓮月の名歌をもじれば、
灯りつかぬ街の暗さに折を得て秋なほ暑き月の下臥し
といったところでしたが、やはりほとんど眠れませんでした。
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