<< 2019/10 >>
01 02 03 04 05
06 07 08 09 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

RSS

新刊のお知らせ 風雅和歌集2019年10月09日

Kindleにて『風雅和歌集(正保四年版本)』の電子書籍を発売しました。440円です(unlimited 会員の方は無料)。

先日出版した『玉葉和歌集』と同じ正保四年版本を底本としました。新編国歌大観や「中世の文学シリーズ」の本文を参照して校訂しています。

伏見院・永福門院・京極為兼の秀歌がさらに追加されていますが、新世代の京極派歌人の歌も素晴らしいものです。花園院・光厳院は言わずもがなでしょうが、この時代は優れた女流歌人が多いことも特徴です。

隈もなく閨の奥まで射し入りぬ向ひの山をのぼる月影
月はただ向かふばかりのながめかな心のうちのあらぬ思ひに
窓しろき寝覚の月の入りがたに声もさやかにわたる雁がね
見るままに壁に消えゆく秋の日の時雨にむかふ浮雲の空

上から順に、徽安門院祝子内親王徽安門院一条進子内親王の歌です。

新刊のお知らせ『校註 良寛歌集(補訂版)』2019年10月30日

小川芋銭 月の兎歌意

 

Kindleにて大島花束校註の『校註 良寛歌集(補訂版)』の電子書籍を発売しました。660円です(unlimited 会員の方は無料)。

良寛の歌集は種々出ていて、吉野秀雄校注の東洋文庫は今も版を重ねているようです。大島花束の本は、歌数が多いのと、読みやすいこと(長歌は二句毎に改行するなど)が、類書と比べた時の良さでしょうか。注釈はややあっさりしすぎてはいるものの、枕詞などにも注を付けるなど、初心者に親切な方針が採られています。東洋文庫版を参照するなどして、明らかな誤植を訂正し、また補注を加えました。

良寛は特に長歌が良いと思うのですが、大島本では長歌の部が最初に置かれているのも、私の気に入っている点です。中でも物語的な歌が素晴らしく、私は「月の兎」などを読み返すたびに落涙してしまいます。散文にはない詩の力というものを強く感じさせられます。ここには「松山の鏡」と通称されている長歌を引いてみます。

越なるや 松の山べの
をとめごが 母に別れて
忍びずて 逢ひ見んことを
むらぎもの 心にもちて
あらたまの 年の三とせを
すぐせしが しはすの暮に
市に出で もの買ふ時に
ます鏡 手にとり見れば
わが面の 母に似たれば
母とじは ここにますかと
よろこびて います日のごと
言問ひて 有りの限りの
あたひもて 買うて返りて
朝なけに 見つつしぬぶと
聞くがともしさ

千人万首 良寛