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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州69 祖母山2018年10月10日

祖母山

補録

祖母山

宮崎・大分・熊本三県にまたがる山。九州山地中央部の主峰。山名は、神武天皇の祖母豊玉とよたま姫を祀る石の祠が山頂にあることに由来する。

 

前田夕暮

日はあかく照りとほりつつそそりたり祖母山のに雪ふりにけり

持田勝穂

波野なみの高原いろかはるところおのづから祖母そぼぞ起れり群山を裾に

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州68 球磨川2018年09月19日

球磨川

補録

球磨川

熊本県南部の人吉盆地・八代平野等を流れ、八代海(不知火海)に注ぐ。

 

肥後に入る
長塚節

球磨くま川の浅瀬をのぼる藁船わらぶね燭奴つけぎの如き帆をみなあげて

斎藤茂吉

球磨川く ま がはの岸に群れゐて遊べるはここの狭間はざま うまれし子等ぞ

みぎはには冬草ふゆくさいまだ青くして朝の球磨川ゆ霧たちのぼる

中島哀浪

川千鳥鳴けば見おろす球磨川の瀬の音たかし霧の底より

吉野秀雄

球磨川の遠つみなかみにおのづから生ふる茶の木の新芽とぞいふ

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』目次2018年08月31日

はじめに
1 東海道線 2 京都附近 3 伊勢方面
4 大和紀伊方面 5 大阪神戸附近 6 山陽線
7 山陰線 8 四国 9 九州 10 中央線
11 信越線 12 北陸線 13 総武線 14 常盤線
15 東北線 16 磐越線、奥羽線 17 北海道及樺太
18 台湾 19 朝鮮及満洲 20 支那及印度 21 欧米及其他

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州67 鏡の池(八代の池)2018年08月31日

補録

鏡の池(八代の池)

八代市は熊本県中部、球磨川の河口に臨む市。もと細川氏の支藩松井氏の城下町。不知火海(八代海)に面す。「鏡の池」はかつて湿地帯を成していたという八代の沿海部にあった池で、今八代市迎町に鏡の池跡があり、また鏡町の鏡ヶ池公園には小さな池が残存する(もとの鏡の池との関連は不明)。ここでは毎年四月二十七日鮒取り神事が行われている。

 

永久四年百首、池
太皇太后宮肥後(夫木抄)

みさび居ぬ鏡の池に住む鴛鴦をしはみづから影をならべてぞ見る

肥後の国八代にとどまりける日、池を見侍りて

細川幽斎

影も見じ日数をうつす旅衣身をやつしろの池のかがみに

題不知
相良義陽さがらよしひ

水の上に立つ朝霧は曇れども磨け鏡の池の秋風

月の歌の中に
契沖

塵もゐぬ鏡の池のきよければ水なき空にかよふ月かげ

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州65 風流島2018年08月21日

風流島

補録

風流島たわれじま

熊本県宇土市、緑川河口の沖合にある小島。裸島はだかじまとも。『伊勢物語』の歌に詠まれて歌枕となった。『枕草子』にも名が見える。その名と、常に波に濡れる岩礁であることから、恋の歌で「濡衣」(浮名、実のない悪い噂)と関わらせて詠まれることが多い。

 

作者未詳(伊勢物語)

名にし負はばあだにぞあるべきたはれ島浪の濡衣ぬれぎぬ着るといふなり

たはれ島を見て
よみ人しらず(後撰集)

名にし負はばあだにぞ思ふたはれ島浪のぬれぎぬ幾夜着つらむ

女のあだなりといひければ

大江朝綱(後撰集)

まめなれどあだ名は立ちぬたはれ島よる白浪をぬれぎぬにきて

題不知
宗良親王(新葉集)

恋といへばあだなる波のたはれ島たはぶれにくきまでにかけつつ

歎無名恋
三条西実隆

くらべても無き名は憂しやたはれ島波のぬれ衣いつかほさまし

寄島恋
武者小路実陰

波枕夢にのみ見したはれ島それさへほさぬ濡衣も憂し

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州66 天草2018年07月12日

天草諸島

補録

天草あまくさ

肥後国・熊本県の一地方。郡の名であり、また宇土半島の西南にある群島の名。天草五橋によって九州本土と結ばれる。寛永年間、天草四郎(益田四郎時貞)を首領とした天草の乱が起り、キリシタンの島としても知られる。

 

海上眺望
加納諸平

天草やあめよりをち唐山からやまも雲になびきて日は暮れにけり

与謝野寛

天草の十三仏じふさんぶつの山に見る海の入日とむらさきの波

与謝野晶子

天草の西高浜の白き磯江蘇省かうそしやうより秋風ぞ吹く

天草の白鶴しらつる浜の黄昏たそかれ白沙しらすなが持つ初秋はつあきの熱

斎藤茂吉

高々たかだかと山のうへより目守まもるとき天草あまくさなだ雲とぢにけり

釈迢空

天草の瀬戸よりアメに漕ぎいでて、いにしへびとは、還らざりけり

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州64 宇土2018年07月10日

宇土より有明海を望む

宇土半島より有明海・雲仙普賢岳を望む

補録

宇土うと

熊本県にある半島の名、また市の名、また肥後国・熊本県にかつてあった郡の名。「宇土(宇戸)の小島」「宇土の長浜」が歌枕とされた。宇土半島は島原湾・八代海に面し、尖端の三角港(宇城市)から天草諸島への船便がある。

 

藤原忠通

ながむれば思ひ残せることぞなき宇戸の小島の有明の月

腹赤御贄
四辻善成

初春の千代のためしの長浜につれる腹赤はらかもわが君のため

(貞治五年―1366年―二条良基主催の『年中行事歌合』出詠歌。良基の判詞に「景行天皇の代、筑後国宇土郡長浜にて此魚をつりてたてまつりけるを、年ごとの節会に供すべき由定めおかれたるなり」とある。)

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州63 白川2018年05月20日

阿蘇白川 水源附近 「キロクマ」フリー写真

阿蘇白川 水源附近

補録

白川

阿蘇山に発し、熊本市内を流れて有明海に注ぐ。

 

筑紫の白川といふ所に住み侍りけるに、大弐だいに藤原興範おきのりの朝臣のまかりわたるついでに、水たべむとて打ち寄りて乞ひ侍りければ、水をもていでてよみ侍りける

檜垣嫗ひがきのおうな(後撰集)

年ふれば我が黒髪も白河のみづはぐむまで老いにけるかな

(注:「白河のみづはぐむ」、「(黒髪が)白くなる」「白川の水は汲む」「瑞歯ぐむ」の掛詞。「瑞歯ぐむ」は老いて一度抜けた歯が、長寿の末に生え替わる意。)

肥後国の白川をわたりて
細川幽斎

ながれてのなほ行末を頼むかな身は白川のあはと見ながら

(注:「泡(あは)」に「彼(あ)は」を掛ける。「あれは」の意にも、はっと気づいた時などに発する感嘆詞(「ああ、さては」)としても遣われた語。)

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州62 水前寺2018年05月19日

水前寺成趣園

水前寺

熊本より宮地線軽便鉄道あり。その水前寺駅にあり。庭園を成趣園じようじゆえんといふ。(注:細川忠利が初め禅寺として創ったが、のち別荘とした。JR豊肥本線新水前寺駅、または路面電車水前寺公園下車。)

 

高橋刀畔

美しき水の中なる砂掻きて水前寺菜をまきてありけり

補録

太田水穂

暮れのこるさくらの奥に墨染の夕べの水は暗くただよふ