佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』目次 ― 2020年03月05日
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州 目次 ― 2020年03月05日
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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州89 気色の杜 ― 2019年08月03日
補録
気色の杜
鹿児島県霧島市国分。天降川河岸一帯の森。「気色(様子)」の意を掛けて用いられることが多く、中世以降は特に「秋のけしき」と掛けたり、時鳥と合わせて詠まれたりした。
我がためにつらき心は大隅のけしきの森のさもしるきかな
人の来たるを帰したるつとめて、いみじう恨みて、われこそかへれといひたるに
とまるとも心は見えでよとともにゆかぬけしきの森ぞくるしき
うらみしに思ひ得ざりき音に聞くけしきの森を見る人ぞとは
(注:作者は源経信の若き日の恋人で、経信との贈答歌群にある一首。あなたの心の裏を見たが、様子見ばかりしている人―風見鶏―とは思わなかったと、相手を非難した歌であろう。)
百首歌たてまつりける時、秋たつ心をよめる
秋の来るけしきの森の下風にたちそふものはあはれなりけり
秋ちかき気色の森になく蝉のなみだの露や下葉そむらん
明けわたるけしきの森にたつ鷺のうは毛もふかく雪は降りつつ
なかなかに木の葉隠れはあはれなり秋のけしきの森の月かげ
月にほふ気色の杜の時鳥いかにつれなきねをも惜しまじ
滝波を梢にかけて山深きけしきの森の蝉のもろごゑ
夜をのこすけしきの森の時鳥青葉がくれの露に啼くなり
佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州88 歎きの杜 ― 2019年07月16日
補録
歎きの杜
霧島市隼人町の蛭子(蛭児)神社の境内にある森。イザナギ・イザナミ二神から生まれた蛭子が船で流されここに漂着したが、その船から枝葉が茂り森になったといい、蛭子の脚が立たなかったことを二神が歎いたことから「歎きの森」の名が付いたという(三国名勝図絵)。時鳥などの名所とされた。
ねぎ事をさのみ聞きけむ社こそはてはなげきの杜となるらめ
いかにせんなげきの杜はしげけれど木の間の月のかくれなきよを
神さぶるなげきの森の時鳥ひくしめ縄もなくなくや来し
かれにけり人の心の秋風にはてはなげきの森のことのは
いつまでか変はらぬかげと頼みこしはてはなげきの杜の下草
花にあかぬなげきの杜はこれなれや嵐吹きたつけふの夕暮
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