和漢朗詠集卷上 早春2010年02月28日

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内宴春暖   ()良香(りようきやう)

氣霽風梳新柳髮  ()()れては 風新柳(しんりう)の髪を(けづ)
氷消浪洗舊苔鬚  氷消えては 浪旧苔(きうたい)(ひげ)を洗ふ

【通釈】天気がおだやかに晴れて、風は萌え出た柳の枝を、髪をくしけずるように靡かせる。
池の氷が消えて、波は古びた苔を、髭を洗うように打ち寄せる。

【補記】題は『江談抄』による。原詩は散逸か。

【作者】(みやこの)良香(よしか)。承和元年(834)~元慶三年(879)。平安前期の官人・漢詩人。大内記・文章博士・越前権介・侍従を歴任。『文徳実録』の編纂に参加する。文才の誉れ高く、『都氏文集』に文章を残す。和漢朗詠集や新撰朗詠集に漢詩が見える。

【影響を受けた和歌の例】
佐保姫のうちたれ髪の玉柳ただ春風のけづるなりけり(大江匡房『堀河百首』)
佐保姫の寝くたれ髪を青柳のけづりやすらん春の山風(〃『江帥集』)
青柳の糸はみどりの髪なれやみだれてけづる如月の風(永縁『堀河百首』)
春雨に柳の髪をあらはせてけづりながすは風にこそありけれ(源頼政『頼政集』)
龍田川浪もてあらふ青柳のうちたれ髪をけづる春風(慈円『拾玉集』)
春きぬとつげのをぐしもささなくに柳の髪をけづる春風(土御門院『土御門院御集』)
たをやめの柳の露のたまかづらながき日かけてけづる春風(藤原為家『五社百首』)
春風ややなぎの髪をけづるらんみどりの眉もみだるばかりに(亀山院『新千載集』)
雨にあらひ風にけづりて青柳の手ふれぬ髪もまがふとはなし(木下長嘯子『挙白集』)
水を浅み波はよりてもあらはねど風ぞ柳の髪をけづれる(契沖『漫吟集』)
柳のみみかきにおいて朝髪を風にけづりし宮人もなし(同上)
青柳のうちたれ髪をけづるには下行く水や鏡なるらむ(『琴後集』)