草紅葉:草木の記録201011242010年11月24日

浅茅原の紅葉 神奈川県鎌倉市

浅茅原の草紅葉が鮮やかになった。

白氏文集卷八 秋蝶2010年11月24日

花と蝶

秋蝶(しうてふ)    白居易

秋花紫蒙蒙  秋花(しうか) (むらさき)にして蒙蒙(もうもう)
秋蝶黄茸茸  秋蝶(しうてふ)黄にして茸茸(じようじよう)たり
花低蝶新小  花(ひく)く蝶新小(しんせう)
飛戲叢西東  飛び(たはむ)(くさむら)西東(にしひがし)
日暮涼風來  日暮れて涼風(きた)
紛紛花落叢  紛紛(ふんぷん)として花(くさむら)に落つ
夜深白露冷  夜()けて白露(はくろ)(ひや)やかに
蝶亦死叢中  蝶()叢中(そうちゆう)に死す
朝生夕倶化  (あした)(しやう)(ゆふべ)(とも)(くわ)
氣類各相從  気類(きるい) (おのおの) 相從(あひしたが)
不見千年鶴  見ずや千年(せんねん)(つる)
多栖百丈松  多く百丈(ひやくぢやう)の松に()むを

【通釈】秋の花が紫に咲き乱れている。
秋の蝶が黄に飛び交っている。
花は丈低く、蝶は生れたばかりで小さく、
草叢の西を東を飛び戯れる。
日が暮れると涼しい風が吹いて来て、
乱れるように花が草叢に散る。
夜が更けると露が冷やかに置いて、
蝶もまた草叢に落ちて死ぬ。
花も蝶も、朝に生れ、夕に共に死ぬ。
気の通じた仲で、お互い従い合っているのだ。
知らないか、千年生きる鶴は、
百丈の松に棲むことが多いのを。

【語釈】◇蒙蒙 咲き満ちているさま。◇茸茸 ふつう草木の繁るさまを言うが、ここでは蝶の飛び交うさまであろう。◇気類 気を同じくするもの。気の合う同類。◇百丈松 丈高い松。

【補記】長慶二年(821)、長安から抗州に赴任する途上の作。久保田淳著『新古今歌人の研究』は定家若年の作にこの詩の影響を指摘する。

【影響を受けた和歌の例】
菊枯れて飛びかふ蝶の見えぬかな咲き散る花や命なりけん(藤原定家『拾遺愚草』)