佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』四国6 寒霞渓 ― 2016年11月26日
寒霞渓(小豆島)
瀬戸内海の一島、小豆島にあり。
神かけの紅葉が渓をわれ行けばわれももみぢぬ梢吹く風に
ふもと田のおくて刈りほす処女らに神懸おろし寒く吹くかな
小豆島島の藁屋の屋根草の青きにけぶる春の雨かな
補録 小豆島
神戸・姫路・新岡山・宇野などから船便がある。小豆島本島は淡路島に次ぐ瀬戸内海第二の大きな島。古くは「あづき島」と呼ばれた。島のほとんどが山地で、星ヶ城山(標高817m)は瀬戸内海最高峰である。他に紅葉の名所寒霞渓のある神懸山(標高671m)などがある。壺井栄の『二十四の瞳』の舞台としても名高い。
ふりつづく雨の音きけばあづき島霧こめし日もおもほゆるかな
海にたつ昼靄ぬちの遠きやま備前とも云へり播磨とも云へり
雨雲の小豆島より一ときの灰黄として海あらはれ来
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