但能心靜即身涼 ― 2010年07月21日
白氏文集卷十五 苦熱題恆寂師禪室
熱に苦しみ、
人人避暑走如狂 人人
獨有禪師不出房 独り禅師の
不是禅房無熱到
但能心靜即身涼
【通釈】世の人々は暑さを避けて狂ったように家を逃げ出す。
独り禅師のみは房中に籠もったままでいる。
師の禅室にも炎熱が押し寄せないわけではない。
ただ心を静かに澄ませていれば、そのまま身も涼しくなるのである。
【補記】酷暑の候、恒寂師(不詳)の禅室に題した詩。和漢朗詠集の巻上夏「納涼」に第三・四句が引かれている。那波本は第三句「可是…」とし、この場合「
【影響を受けた和歌の例】
我が心しづけき時は吹く風の身にはあらねど涼しかりけり(大江千里『句題和歌』)
心をや御法の水もあらふらむひとりすずしき松のとざしに(慈円『拾玉集』)
嵐山すぎの葉かげのいほりとて夏やはしらぬ心こそすめ(藤原定家『拾遺愚草員外』)
しづかなる心ぞ夏をへだてけるてる日にもるる宿ならねども(寂身『寂身法師集』)
おのづから心しづけきむろの中は身さへ涼しき夏衣かな(藤原為家『為家集』)
人とはぬ深山の庵のしづけきに夏なきものは心なりけり(一条実経『円明寺関白集』)
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