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新刊と無料キャンペーンのお知らせ2017年07月20日

アマゾンkindleにて、野上豊一郎著『謡曲序説』『謡曲 弓八幡(解註謡曲全集3)』『謡曲 養老(同4)』『謡曲 志賀(同5)』を発売しました。

また、『拾遺愚草全釈一』と『謡曲 翁』を今週金曜までのキャンペーン期間中、無料で販売しております。この機会にぜひお求め下さい。

表紙画像をクリックすると商品詳細ページに移動しますので、詳しくはそちらをご覧下さい。

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州37 領巾振山(鏡山・松浦山)2017年07月19日

領巾振ひれふり

虹の松原の背後に聳ゆ。鏡山といふ。(注:佐賀県唐津市の山。万葉集等には松浦まつら山とも称す。任那みまなへと出征する大伴狭手彦さでひこを、松浦佐用姫がこの山から領巾ひれを振って見送ったという。平坦な山頂には鏡山神社・佐用姫神社などを祀る。唐津湾・虹ノ松原などの眺望が素晴らしい。JR筑肥線虹ノ松原駅の南一キロほど。)

 

作者不詳(万葉集)

万代よろづよに語り継げとしこのたけ領巾ひれふりけらし松浦佐用媛まつらさよひめ

海原の沖行く船をかへれとか領巾ふれしけむ松浦佐用媛

補録

山上憶良(万葉集)

松浦県まつらがた佐用姫さよひめの子が領巾ひれ振りし山の名のみや聞きつつらむ

三島王、後に松浦佐用媛の歌に追和する歌(万葉集)

音に聞き目にはいまだ見ず佐用姫が領巾振りきとふ君松浦山

川田順

わがぢし領巾振山のいただきは雑草あらくさ枯れて稲荷のほこら

土屋文明

唐津の海領巾振山の空すみて立つ天の川今宵仰がむ

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州36 虹の松原2017年07月17日

虹の松原 唐津城より

唐津城より眺めた虹の松原

虹の松原

松浦湾に沿へる長汀二里、青松白沙の景勝。(注:江戸時代に防風林として整備され、「虹の松原」と称されるようになったのは明治時代以降。JR筑肥線虹ノ松原駅下車至近。)

北村幽渓

佐用媛さよひめがひれふりしてふ山裾に清くうつくし虹の松原

補録

波多江友吉

まな下に横たふ虹の松原やなぎさはるばると波しろく寄す

中島哀浪

うすべにの貝がらひとつひきだしに悲しき海といつまでかある

(虹の松原にこの歌の歌碑がある。同所を詠んだ歌かどうかは不明。中島哀浪あいろうは佐賀出身の歌人。前田夕暮の「詩歌」同人、「ひのくに」主宰。昭和四十一年、八十三歳で死去。)

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州35 玉島2017年07月16日

補録

玉島

肥前国松浦郡。今の佐賀県唐津市浜玉町の一部にあたる。神功皇后が新羅出兵の際、玉島の里で鮎釣の占いをしたとの伝説がある。唐津市南山には神功皇后を祀る玉島神社がある。なお、万葉集に詠まれた「松浦川」は今の玉島川に当る。

 

松浦川に遊ぶ
大伴旅人(万葉集)

玉島のこの川上に家はあれど君をやさしみあらはさずありき

松浦なる玉島川に鮎釣ると立たせる子らが家道いへぢ知らずも

春されば我家わぎへの里の川門かはとには鮎子さ走る君待ちがてに

大宰帥であった大伴旅人とその部下たちが玉島に遊んだ時、土地の娘(実は神仙)との贈答として虚構の歌を連作した、その一部を抜萃。個々の歌の作者は不明であるが、序文を含む連作全体としては旅人主導の創作とみとめられる。

河辺納涼
俊恵

若あゆ釣る玉島河の柳かげ夕風たちぬしばし帰らじ

玉島川
藤原家隆

玉島やおちくる鮎の河柳下葉うち散り秋風ぞふく

藤原定家

梅が香やまづうつるらむ影きよき玉島河の花の鏡に

津守国冬

をとめごがこの河上の家づとに玉島桜をりてゆくなり

河霞
冷泉為村

うす氷春にながるる玉島の家路はるかにかすむ河波

幽人釣春水
橘曙覧

春風にころも吹かせて玉島やこの川上にひとり鮎釣る

新刊のお知らせ 『やまと心』ほか2017年07月03日

アマゾンkindleにて、佐佐木信綱著『やまと心 明治天皇御製謹註』、野上豊一郎著『謡曲 翁(解註謡曲全集1)』『謡曲 高砂(同2)』を発売しましたのでお知らせ申し上げます。

いずれも古書の電子復刊ですが、補註などを添えてあります。

表紙画像をクリックすると商品詳細ページに移動しますので、詳しくはそちらをご覧下さい。

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』目次2017年06月26日

はじめに
1 東海道線 2 京都附近 3 伊勢方面
4 大和紀伊方面 5 大阪神戸附近 6 山陽線
7 山陰線 8 四国 9 九州 10 中央線
11 信越線 12 北陸線 13 総武線 14 常盤線
15 東北線 16 磐越線、奥羽線 17 北海道及樺太
18 台湾 19 朝鮮及満洲 20 支那及印度 21 欧米及其他

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州34 英彦山2017年06月25日

英彦山

補録

英彦ひこさん

福岡県田川郡と大分県中津市にまたがる山。古くは彦山と書き、また英彦は「えひこ」「えいげん」とも読まれた例がある。修験道の霊場として栄えた。英彦山神宮(彦山権現)を祀る。JR日田彦山線の彦山駅よりバス便があり、また銅の鳥居から英彦山神宮までスロープカーが運行している。

 

神祇歌 作者未詳(玉葉集)

いさぎよき彦の高嶺の池水にすまば心のすまざらめやは

これは、ある人、筑紫の彦の山に籠りて後世の事祈り申しけるついでに、「いさぎよき彦の高嶺の池水にすます心を又はけがさじ」と思ひつづけてまどろみ侍りける夢に告げさせ給ひける御返しとなん

豊前の彦の山にて桜の二十町ばかり峰にも谷にも咲きわたれるを見て

海量法師

み吉野の山ならずして思ひきやかかる桜の花を見むとは

豊国の彦の高嶺の桜花またも見に来む春の知らなく

北原白秋

北の方雲にかくろき山の英彦えいげんならむ尖りる見ゆ

吉井勇

彦山ひこさんの荒山伏のあくびよりこれや湧き来し雲にあらぬか

西田嵐翠

炭坑の煙みなぎる夕空のをちかたにみゆ英彦山の雪

生田蝶介

天狗ども夜をひそひそと築きけむ石段の石はまろまろ太き

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州33 筑後川2017年06月18日

筑後川 福岡県久留米市

福岡県久留米市

補録

筑後川

九州最長の河川。熊本県阿蘇山を水源とし、大分県で玖珠川を併せ、筑紫平野を流れて有明海に注ぐ。大分県内の流れには三隈みくま川の名がある。古くは千歳ちとせ川(千年川)・一夜ひとよ川とも呼ばれ、筑後川は江戸時代以降の称。筑紫次郎の異名もある。

 

衣笠家良

名にたかき秋のなかばの一夜川ことわりしるくすめる月かな

九条教実

わが君のながれ久しき千歳川なみしづかなる世につかへつつ

津守国冬

みそぎして暮れぬる夏の一夜川あくるも待たず秋風ぞ吹く

大隈言道

ちとせ川岸の柳の蔭しめて誰がすなどれる子ごもりの鯉

斎藤茂吉

筑後川日田ひたよりくだる白き帆も見ゆるおもむきの話をぞ聞く

若山牧水

筑後川川口ひろみ大汐の干潟はるけき春の夕ぐれ