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新刊のお知らせ 謡曲 身延ほか2018年02月18日

鸚鵡小町 月岡耕漁画

引き続き、アマゾンkindleにて『解註謡曲全集』を刊行中です。今回は鬘物(かずらもの)の10冊です。価格は108~250円です。kindle unlimited では無料でお読み頂けますので、会員の方はぜひご利用下さい。表紙画像をクリックすると、商品説明頁へ移動します。

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州56 由布岳2018年02月18日

由布岳(おおいた風景写真集より)

補録

由布岳

大分県由布市にある火山。樹氷で知られる。万葉集に「木綿ゆふ山」と見え、和歌では雪の名所とされた。

 

雪に寄す
作者不明(万葉集)

思ひ出づる時はすべなみ豊国の木綿ゆふ山雪の消ぬべく思ほゆ

羈旅作
作者未詳(万葉集)

乙女らがはなりの髪を木綿ゆふの山雲な棚引き家のあたり見む

豊後国由布の岳の雪を見て
橘為仲

神代より多くの年の雪つもり白くも見ゆる由布ゆふたけかな

山の卯の花をよめる
藤原教定

神垣に手向たむけとは知らねども卯の花咲ける由布の山かげ

ゆふの山の絵に
村田春海

万代よろづよに神さびたてる由布の山そら行く雲も麓なりけり

与謝野晶子

われは浴ぶ由布の御岳みたけの高原に銀柳の葉のちりそめし秋

安部俊市

ふりさけてみれば由布ゆふだけ鶴見つるみだけ雲をかづきてならびかかれり

浅利良道

由布山にかかる笠雲今日の日の旅のなごりとおもひつつ見む

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州55 四極山2018年02月17日

高崎山(四極山)

補録

四極しはつ山(高崎山)

大分県大分市の西端、別府市との境にある山。別府湾に面す。野生のニホンザルが生息し、高崎山自然動物園で餌付けがされている。万葉集に詠まれた「四極山」は摂津国住吉辺りの丘陵かと見る説が現在は有力であるが、中世の歌枕書では豊前国の歌枕としており、高崎山に比定されよう。「柴津山」とも書き、古歌では楢の葉の名所とされた。

 

高市連黒人の羈旅歌(万葉集)

四極山しはつやま打ち越え見れば笠縫かさぬひの島こぎかくる棚なし小舟

月前逐涼といふ事を
源俊頼(新続古今集)

しはつ山ならの若葉に漏る月の影さゆるまで夜は更けにけり

正治二年百首歌に
守覚法親王(新続古今集)

しはつ山風吹きすさぶ楢の葉にたえだえ残る日ぐらしの声

久安百首歌に、旅歌
藤原俊成(続後撰集)

しはつ山ならの下葉を折り敷きて今宵はさ寝ん都恋しみ

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』目次2018年02月15日

はじめに
1 東海道線 2 京都附近 3 伊勢方面
4 大和紀伊方面 5 大阪神戸附近 6 山陽線
7 山陰線 8 四国 9 九州 10 中央線
11 信越線 12 北陸線 13 総武線 14 常盤線
15 東北線 16 磐越線、奥羽線 17 北海道及樺太
18 台湾 19 朝鮮及満洲 20 支那及印度 21 欧米及其他

1月の新刊のお知らせ2018年02月05日

先月の新刊は12冊でした。『和歌ものがたり』は432円、『小野小町集』は324円、『解註謡曲全集』各冊は108円~250円です。今回の謡曲は、和歌とゆかりの深い曲が多く、「東北」は和泉式部、「井筒」は業平、「江口」は西行、「采女」は人麻呂、「梅」は家持と、それぞれ和歌や歌人の伝説に取材した作品です。稀曲「雪」など愛すべき小品もあります。表紙画像をクリックすると、商品説明頁へ移動します。


佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州54 別府2018年01月10日

川瀬巴水画別府温泉

川瀬巴水画「別府温泉」

別府温泉

別府駅所在地。古来八湯の名あり。〔注:大分県別府市。古くからの温泉地で、『豊後国風土記』に「赤湯の泉」の記事があり、今言う「血の池地獄」のことであろうと言う。JR九州日豊本線の別府駅前から温泉街が広がる。〕

 

米山梅

日のいでをかぶとにふせて四極しはつ山いでゆの町は霧に眠れり

〔注:四極山は高崎山の旧称。兜のような形をしている。次項参照。〕

天ヶ瀬行雄

目もはろにうちひらけ見ゆ別府の海国東くにさきの山はほの霞みつつ

補録

別府に鰐を飼へる湯あり
佐佐木信綱

遠つ国ゆ捕はれ来つるなげきをも知らざるごとしわにの面わの

太田水穂

血の池の地獄のうへにひつたりとかぶさりて秋のさやけき青空

会津八一

いかし ゆ の あふるる なか に もろあし を ゆたけく のべて もの おもひ も なし

〔注:「いかしゆ」は「厳し湯」、大量の湯。〕

九条武子

やはらかき湯気に身を置く我もよしこよひおぼろの月影もよし

柳原白蓮

わたつ海の沖に火燃ゆる火の国に我ありそや思はれ人は

〔注:歌集『幻の華』冒頭歌。宮崎龍介との出逢いの場であった別府赤銅あかがね御殿の跡地に、この歌の碑が建てられている。〕

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州53 国東2018年01月06日

国東市 千住寺跡

旧千燈寺跡(大分県国東市)

補録

国東くにさき

大分県北東部にある半島の名、また特に半島東部の地域を言う。自治体としては豊後高田市・国東市・杵築市・速見郡がある。古寺が多く仏教文化の遺跡に富む。宇佐駅から豊後豊岡駅まで、半島の付け根を横切るようにJR日豊本線が通じている。

 

富貴寺途上
佐佐木信綱

山椿花咲きしだり荘厳しようごんす大きいはほにゑれる此の磨崖仏まがいぶつ

〔注:豊後高田市の富貴寺ふきじへ向かう途上、熊野磨崖仏を見ての詠か。「ゑれる」は「彫ってある」意。〕

富貴寺

春の鳥山のみ寺に声すなり白鳳仏はくほうぶつのましますみ寺

佐藤志満

こえて来し国東半島夕ぐれて海におちいる末端白し

山本保

いにしへの流転るてんたみがいひけらく国のはてなるここは国東くにさき

〔注:国東市の黒津崎夢咲公園にこの歌を彫った碑がある。碑に付した解説によれば、昭和二十三年、安国寺跡に弥生時代の集落遺跡が発見され、取材に訪れた毎日新聞地方記者山本保氏(国東半島出身)が詠んだ由。〕

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州52 宇佐八幡宮2018年01月03日

宇佐神宮

おおいた風景写真集より

宇佐八幡宮

宇佐駅より西南一里七町。軽便鉄道あり。亀山の頂に鎮座す。官幣大社。〔注:大分県宇佐市。八幡宮の総本社。八幡大神(応神天皇)・比売ひめの大神おおかみ宗像むなかた三女神)・神功皇后じんぐうこうごうを祀る。宇佐八幡・宇佐神宮とも。JR日豊本線宇佐駅よりバス便がある。かつては宇佐八幡駅まで大分交通の宇佐参宮線が通じていたが、1965年に廃止された。〕

天ヶ瀬行雄

老木立おいこだちしげれるかげの石だたみ踏みつつ行けば吾もたふと

藤瀬秀子

身をすてて祈りし君の真心を今はた忍ぶ宇佐の御社みやしろ

〔注:「君」は和気清麻呂であろう。勅使として宇佐神宮に派遣され、神託を得て道鏡の即位を阻んだ。なお作者は三井物産常務藤瀬政次郎の夫人で「心の花」同人。〕

補録

宇佐八幡詠(新古今集神祇歌)

西の海立つ白浪のうへにしてなに過ぐすらむ仮のこの世を

この歌は、称徳天皇の御時、和気清麿を宇佐宮にたてまつりたまひける時、託宣し給ひけるとなん

宇佐を
源重之

筑紫つくしへとくやしく何に急ぎけむ数ならぬ身のうさや変はれる

宇佐
慈円

うさの宮わがたつそまのひじりをもはぐくむ袖の末ぞうれしき

正八幡宮を
藤原良経

わたのはら波路へだつる宇佐の宮ふかき誓ひは代々よよに変はらじ

寄神祝
正広

尋ねきてあふげばたかし亀山や神の恵みの万代よろづよのかげ

与謝野晶子

太宰府の大弐だいにの卿の参進をなほ待つ如し宇佐のくれ

新刊のお知らせ 謡曲 頼政ほか2017年12月29日

頼政

月岡耕漁画「頼政」(能画名作百撰より)

引き続き、アマゾンkindleにて『解註謡曲全集』を刊行中です。今回は修羅物の9冊です。価格は160~250円です。今までに比べてちょっと値上げしましたが、その代り kindle unlimited では無料でお読み頂けるようになりましたので、会員の方はぜひご利用下さい。表紙画像をクリックすると、商品説明頁へ移動します。