佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』四国26 道後温泉 ― 2017年01月06日
道後温泉本館
道後温泉
松山市より汽車、電車あり。(注:JR松山駅前より伊予鉄道の路面電車が利用できる。)
上つ代のかしこき君の浴みましし同じ温泉に我身ひたしつ
補録
山部宿禰赤人、伊予温泉に至りて作る歌一首(万葉集)
皇神祖の 神の命の 敷きいます 国のことごと 湯はしも 多にあれども 島山の 宣しき国と 凝々しかも 伊予の高嶺の 射狭庭の 岡に立たして 歌思ひ 辞思ほしし み湯の上の 木群を見れば 臣の木も 生ひ継ぎにけり 鳴く鳥の 声も変らず 遠き代に 神さびゆかむ 行幸処
(注:「伊予の高嶺」は石鎚山またはその山系を指すとする説が有力。「射狭庭の岡」は道後温泉裏の丘陵かという。)
湧きそめて名に流れこし伊予の湯のよよは湯桁の数も知られじ
(注:道後温泉は湯桁の数が多いことで知られたため、「伊予の湯桁」で数が多いことの例えとした。源氏物語などにも見える例え。)
足なへの病いゆとふ伊予の湯に飛びても行かな鷺にあらませば
湯の宿の階上の客かなしめりまた松山の城を見て立つ
伊予の温泉の夜は静まりいさ庭のゆづきの丘にふくろふの鳴く
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