佩文齋詠物詩選 夏日臨江 ― 2010年07月08日
夏の日 江に臨む 梁武帝
夏潭蔭修竹
高岸坐長楓
日落滄江靜 日落ちて
雲散遠山空 雲散じて
鷺飛林外白 鷺飛びて
蓮開水上紅 蓮開きて
逍遙有余興
悵望情不終
【通釈】夏の
切り立った岸辺、丈高い
日は落ちて青々とした大河は穏やかに、
雲は散って遠くの山々は虚ろだ。
鷺が林の外へ白々と飛び、
蓮が水の上に
散策すれば感興は余るほどあり、
眺望すれば哀情の尽きることがない。
【語釈】◇修竹 「修」は「脩」に通じ、長い竹の意。◇滄江 青々とした河。「江」は長江。
【補記】夏の日、長江に臨んで作ったという五言古詩。『古詩三百首』などは作者を隋煬帝(楊広)とする。大江千里の歌は「蓮開水上紅」の句題和歌。
【作者】梁武帝、
【影響を受けた和歌の例】
秋近く蓮ひらくる水の上は紅ふかく色ぞみえける(大江千里『句題和歌』)
夕立の雲間の日かげ晴れそめて山のこなたをわたる白鷺(藤原定家『玉葉集』)
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