<< 2016/07 >>
01 02
03 04 05 06 07 08 09
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

RSS

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線3 天の橋立2016年07月16日

安藤広重天橋立図

安藤広重 天橋立図

天の橋立

新舞鶴より舟行して到るべし、宮津湾中に横れる沙嘴なり。松の下道の長く海に突き入ること廿八町南端は切戸の小海峡を隔て文殊と相対せり。(注:現在では京都丹後鉄道の天橋立駅が利用できる。)

源俊頼(詞花集)

なみたてる松のしづえをくもでにて霞みわたれる天の橋立

大江義重(玉葉集)

橋立や松ふきわたる浦風に入海とほくすめる月影

藤井喜一

橋立の松の中道砂光るゆふべを来けりはつ夏の旅

松かさの落つる音して橋立の真白真砂路しづけくもあるか

宮津より栗田村に越ゆる坂路にたちて
長塚節

鯵網を建て干す磯の夕なぎに天の橋立霧たなびけり

九条武子

あかつきの欄にゐよれば久方のあまのはしだて神世の如し

補録

丹後国にまかりける時よめる
赤染衛門

思ふことなくてぞ見まし与謝の海の天の橋だて都なりせば

小式部内侍(金葉集・百人一首)

大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立

海路
祐子内親王家紀伊(堀河百首)

舟とめて見れどもあかず松風に波よせかくる天の橋立

浦冬月
細川幽斎

雲はらふ与謝の浦風さえくれて月ぞ夜わたる天のはしだて

後水尾院

浪の音に聞きつたへても思ふぞよふみ見ばいかに天の橋立

与謝野寛

小雨はれみどりとあけの虹ながる与謝の細江の朝のさざ波

丹後舞鶴の港より船に乗りて宮津ヘ志す
長塚節

真白帆のはららに泛ける与謝の海や天の橋立ゆほびかに見ゆ

吉井勇

ひさかたの天の橋立ここに来てあはれとぞ思ふ小式部の歌