新刊のお知らせ(現代襤褸集) ― 2016年07月27日
kindleにて電子書籍『現代襤褸集』を出版しました。これで釈迢空の戦後の三詩集が揃いました。
重厚な全集本から折口の歌集や詩集を一冊ずつ解放(?)し、手軽にどこでも読めるようにしたい、といった自身の願望から、今回の電子出版に踏み切ったものです。折口の歌集・歌書はもう何冊か出版する予定です。
夕(近代悲傷集より)
たそがれの水より 出でゝ
ほのぼのと遠き 白鳥―
水無月のしら雪の如
ひたと浮く―。湖のおもて。
目な離れそ。やがて消えなむ―
言ふ声の 繊細なりしか―、
あはれ その声消えて
ふたゝび聞かむ 日もなき
薄暮の湖から現れた白鳥、その美しいイメージから、一転、寄り添う人のあえかな声へ――。夕闇の中に消え入った白鳥のように、もう二度と逢うこともないその人の声。
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