佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州7 香椎 ― 2017年02月21日
和白干潟 福岡市東区(提供:福岡市)
香椎
香椎駅より東南八町に香椎宮あり、熊襲及び三韓征伐の際の行宮の址(注:福岡県福岡市東区北部。遠浅の海であった香椎潟が万葉集に詠まれ歌枕となったが、近代、埋め立てにより消滅した。博多湾に唯一残る干潟である和白干潟に辛うじてかつての面影を偲ぶことができよう)。
冬十一月、太宰の官人等、香椎廟を拝み奉り訖へて退り帰りし時、馬を香椎の浦に駐めて、各懐を述べて作れる歌
いざ児等香椎の潟に白たへの袖さへぬれて朝菜つみてむ
時つ風吹くべくなりぬ香椎潟潮干の浦に玉藻刈りてな
夕されば寒き浪よる香椎がた鴛鴦も沈鳧もうちまぜて鳴く
補録
往き還り常にわが見し香椎潟明日ゆ後には見むよしも無し
隆家卿、大宰帥にふたたびなりて、のちのたび、香椎の御社に参りけるに、神主、事の旧と杉の葉を折りて、帥の冠にかざすとてよめる
ちはやぶる香椎の宮の杉の葉をふたたびかざす君ぞわが君
ちはやぶる香椎の宮のあや杉は神のみそぎにたてるなりけり
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