新刊のお知らせ 二つの「竹の里歌」2017年04月06日

アマゾンkindleにて、『子規遺稿 竹の里歌』『正岡子規 竹乃里歌全集』を発売しましたのでお知らせ申し上げます。

『子規遺稿 竹の里歌』は最初に刊行された子規の歌集、俳書堂版を電子書籍化したもので、六百首足らずを収録。324円。『竹乃里歌全集』は大正時代のアルス版で、明治三十年以後の全歌を集めたもの、千三百余首を収録しています。432円。

前者は子規の自筆歌稿から選抄し、後者は新聞・雑誌等の発表媒体から採録したという違いがあります。

上の画像をクリックすると商品詳細ページに移動しますので、詳しくはそちらをご覧下さい。

楽天でも販売予定ですが、少し遅くなります。

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州24 水城2017年04月11日

水城 福岡県太宰府市

水城跡

水城みずき

水城駅附近。線路に沿うて水城の礎石存せり。(注:福岡県太宰府市水城。天智三年、大宰府防備のために築かれた土塁の跡が遺る。)

北村幽渓

千歳へしむかしを今にかたるなり水城のつつみ水はあらねど

補録

遊行女婦うかれめ児島(万葉集)

おほならばかもかもせむをかしこみと振りたき袖を忍びてあるかも

大伴旅人(同)

ますらをと思へる我や水茎みづぐきの水城のうへに涙のごはむ

大宰帥だざいのそちであった大伴旅人が京へ向けて旅立つ際、水城に馬を駐めて大宰府を顧みた。その時、見送りの中に児島という名の遊行女婦がいて、別れを惜しんで旅人に歌を贈り、これに旅人が答えたという。)

都築省吾

筑紫路に水城の跡をめ来ればまぼろしと立つ防人がとも

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州25 大宰府跡(都府楼跡)2017年04月14日

大宰府政庁跡

補録

大宰府跡(都府楼とふろう跡)

大宰府は律令制において九州を統括した役所。「とほ朝廷みかど」とも呼ばれた。市などの地名としては「太宰府」と書くが、歴史上の名称としては「大宰府」。都府楼は大宰府政庁の正殿。西鉄天神大牟田線都府楼前駅の西約一キロに政庁跡がある。

 

柿本朝臣人麻呂、筑紫の国に下りし時、海路にて作れる歌(万葉集)

大君の遠の朝廷とあり通ふ島門しまとを見れば神代し思ほゆ

大伴旅人(万葉集)

ここにありて筑紫やいづち白雲のたなびく山のかたにしあるらし

(大宰帥を退任して帰京後、筑紫の沙弥満誓に贈った歌)

前田利定

石ずゑは夏草の中に埋もれて麦の風ふく都府楼の跡

太宰府のあとにて
会津八一

いにしへ の とほ の みかど の いしずゑ を くさ に かぞふる うつら うつら に

菅原道真をおもひて

わびすみて きみ が みし とふ とふろう の いらか くだけて くさ に みだるる

佐藤佐太郎

大野山まぢかに曇りゆく春の麦の畑は都府楼のあと

佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州26 観世音寺2017年04月19日

観世音寺

観世音寺

天満宮の西五六町にあり。(注:福岡県太宰府市。日本有数の古刹で、かつては万葉歌人沙弥満誓さみまんぜいが造筑紫観世音寺別当を務めた。日本最古とも言われる梵鐘(国宝)がある。大宰府に幽閉された菅原道真が「観世音寺には只に鐘の声を聴く」と詩に詠じたことでも名高い。西鉄太宰府線西鉄五条駅の北西五百メートル程。)

 

白蓮

ぬかづきて何を祈りしいにしへの大弐だいにの姫がかけたる願ひ

観世音寺みあかし暗う唯一人普門品よむ声にぬかづく

補録

沙弥満誓の綿を詠む歌一首 造筑紫観世音寺別当、俗姓笠朝臣麻呂也(万葉集)

しらぬひ筑紫の綿は身に付けていまだは着ねど暖けく見ゆ

 

彼の蒼然たる古鐘をあふぐ、ことしはまだはじめてなり

長塚節

手を当てて鐘はたふとき冷たさにつま叩き聴く其のかそけきを

 

観世音寺の鐘楼にて
会津八一

この かね の なり の ひびき を あさゆふ に きき て なげきし いにしへ の ひと

釈迢空

筑紫なる観世音寺の鐘の音を思ふしづけさ。歳のあしたに