佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州47 雲仙 ― 2017年11月07日
川瀬巴水「天草より見たる雲仙」
補録
雲仙
長崎県島原半島にある火山群とその周辺地域の称。普賢岳・国見岳・妙見岳・平成新山などがあり、豊富な温泉に恵まれている。かつては「温泉」と書いて「うんぜん」と読んだ。躑躅の名所。
湯浴みして見るもめづらし湯の峰の高嶺を出づる有明の月
温泉の山のふもとの塩の湯のたゆることなく吾は讃へむ
雲仙嶽
太田水穂
春雨のおぼろがなかにうす墨のありとはみえて大いなる山
普賢岳は大き岩やま蒼空に押し上りつつその秀尖れり
色ふかくつつじしづるも山の原夏向ふ風の光りつつ来る
(注:「しづる」は「したたり落ちる」意。躑躅の花びらが風にこぼれ散ることをこう言ったか。)
雲仙の地獄のみちの幾曲り無明の橋もわたりけるかも
草谷の朝霧のなかに馬が飲むたまり泉を吾ものみたり
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