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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州86 桜島 ― 2019年06月28日
写真協力：公益社団法人 鹿児島県観光連盟
桜島
鹿児島市の前面湾中にあり。この島ありて鹿児島の風光はじめて生く。
月雪の見るめのみかは桜島波の花さくゆふべあけぼの
わが胸のもゆるおもひにくらぶれば煙は薄し桜島山
濃みどりの蜜柑の畑に朝日さし桜島山ねぶりより覚む
補録
薩摩中納言殿悼
松永貞徳
桜島ありとしきけば波の花やがてたむくる西の海かな
（注：薩摩中納言〔島津忠恒か〕哀悼歌。）
さくらじまわが枕よりやや高く海に置かるる夏の月明
掻きみだれ掻きむらがりて焼岩は荒びしままに冷えはてにけり
大き山ひとつ桜島日を受けて襞のさやけきゆふべとなりつ
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