白氏文集卷十三 除夜寄弟妹 ― 2009年12月25日
感時思弟妹 時に感じて
不寐百憂生
萬里經年別
孤燈此夜情
病容非舊日
歸思逼新正
早晩重歡會
羈離各長成
【通釈】除夜にあって故郷の弟妹のことを思えば、
寝つかれず、次々に憂いが湧いてくる。
万里を隔て、年久しく別れたまま、
孤灯を前にして、今宵の哀れは深い。
病み衰えた私の姿、昔日の面影はなく、
帰郷の思いは、新年を迎えて募る。
いつの日か、再び楽しく団欒を囲もう。
遠く離れていても、皆それぞれ大きく育ってゆくのだ。
【語釈】◇新正 新年。
【補記】旅先で迎えた大晦日、故郷の弟や妹に思いを寄せた詩。第三句「萬里經年別」を句題として大江千里が歌を残している。
【影響を受けた和歌の例】
近からず遥けき程に年を経て別るることは苦しかりけり(大江千里『句題和歌』)
最近のコメント