雲の記録20100617 ― 2010年06月17日
白氏文集卷十七 東牆夜合樹去秋爲風雨所摧、今年花時、悵然有感 ― 2010年06月17日
碧荑紅縷今何在
風雨飄將去不迴
惆悵去年牆下地
今春唯有薺花開
【通釈】碧い芽、紅い糸の合歓の花はどこに行ってしまったのか。
風雨に舞い上がり、去ったきり戻らない。
私は嘆き悲しむ。去年、垣根のほとりの地にあったのに
今年の春、そこにはただ
【語釈】◇夜合樹
【補記】前年の秋の風雨に折れた合歓木。花の季節を迎えてその不在を悲しんだ詩である。芭蕉の「よく見れば薺花咲く垣根かな」はこの詩を踏まえたものとする説がある。但し直接的には木下長嘯子の歌(下記引用歌)から影響を受けた可能性もある。
【影響を受けた和歌の例】
古郷のまがきは野らとひろく荒れてつむ人なしになづな花さく(木下長嘯子『挙白集』)
最近のコメント