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白氏文集卷九 新秋夕2010年08月26日

新秋(しんしう)の夕べ   白居易

西風飄一葉  西風(せいふう)一葉(いちえふ)(ひるがへ)
前庭颯已涼  前庭(ぜんてい)(さつ)として(もつ)て涼し
秋池明月水  秋池(しうち) 明月(めいげつ)の水
衰蓮白露房  衰蓮(すいれん) 白露(はくろ)(ばう)
其奈江南夜  其れ江南の夜を(いか)んせん
綿綿自此長  綿綿(めんめん)として(これ)より長からん

【通釈】西風が一枚の木の葉をひるがえし、
庭先をさっと吹き過ぎて、涼しくなった。
秋の冷やかな池水は明月を映し、
衰えた蓮は実の穴に白露を宿している。
いったい江南の夜をどう過ごそう。
これから延々と長夜が続くのだ。

【語釈】◇西風 五行説では秋は西に当たるので、西風は即ち秋風である。◇前庭 庭前とする本もある。◇秋池 風池とする本もある。

【補記】早秋の夕べの情趣を詠んだ詩。那波本は題「新秋」。実隆・蘆庵の歌はいずれも初句「西風飄一葉」の句題和歌。

【影響を受けた和歌の例】
吹く風のたよりもいかで桐の葉のわが身ひとつの秋となりなん(三条西実隆『雪玉集』)
あへず散る桐の一葉のことわりも身にしる老の秋の初風(小沢蘆庵『六帖詠草』)