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和漢朗詠集卷上 立春2010年02月05日

池凍東頭風度解  池の(こほり)東頭(とうとう)は 風(わた)つて()
窗梅北面雪封寒  窓の(むめ)北面(ほくめん)は 雪(ほう)じて寒し

【通釈】池の氷の東の方は、暖かい風が渡って解く。
窓辺の梅の北側は、雪が封じ込めて、なお寒々としている。

【語釈】◇東頭風度解 東のほとりを風が渡って氷を解かす。『礼記』月令の「東風解凍」を踏まえる。

【作者】『和漢朗詠集』に作者「篤茂」とあるのは、円融朝の文章生、藤原篤茂(あつもち)。漢風によめば「とくぼ」。漢詩人として名高く、『和漢朗詠集』や『新撰朗詠集』に詩句を採られている。

【補記】釈信阿私注によれば題は「立春の日、(おもひ)を書して、芸閣(うんかく)の諸文友に呈す」。原詩は散佚か。後句を踏まえた和歌がいくつか見られる。

【影響を受けた和歌の例】
山里の窓より北は雪とぢてにほひぞうすき春の梅が枝(藤原光経『光経集』)
雪とづる窓より北の梅が枝に花をおそしと鶯ぞ鳴く(同上)
枕とふにほひもさむし咲く梅の雪にとぢたる窓の北風(正徹『草根集』)
さく梅のにほひは袖にかはれどもさながら雪ぞ窓の北風(正広『松下集』)
ひらくやと冬の北窓明見ればふふめる梅に雪のかかれる(上田秋成『藤簍冊子』)