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詩經 國風 摽有梅2010年06月06日

梅の実 

()ちて梅あり

摽有梅   ()ちて梅あり
其實七兮  其の()七つ
求我庶士  我を求むるの庶士(しよし)
迨其吉兮  其の(きち)(およ)
 
摽有梅   ()ちて梅あり
其實三兮  其の実三つ
求我庶士  我を求むるの庶士(しよし)
迨其今兮  其の今に(およ)
 
摽有梅   ()ちて梅あり
頃筐塈之  頃筐(けいきやう)(これ)()
求我庶士  我を求むるの庶士(しよし)
迨其謂之  其の(これ)()ふに(およ)

【通釈】梅が落ちてます。
その実は七つ。
私めあての殿御方、
吉日選んでおいでなさい。
 
梅が落ちてます。
その実は三つ。
私めあての殿御方、
おいでになるなら今のうち。
 
梅が落ちてます。
手かごはからっぽ。
私めあての殿御方、
言い寄りなさい口づから。

【語釈】◇摽 「()ちて」は旧訓で、現在では誤りとされている。「投果の俗を歌うものである」(白川静『字通』)。今では「()つ」と訓むのが普通。補記参照。◇迨 ことを成し遂げる意。◇頃筐 一方が低いかご。草摘みなどに用いる。

【補記】歌垣などで謡われた詩かという。女が男に果物を投げて誘い、当てられた男は(ぎょく)などを贈り返して夫婦の契りを交わすという風習があったらしい。かつては「摽有梅」を「()ちて梅あり」と訓み、熟して落ちる梅の実に婚期の過ぎてゆく娘を喩えたものと解釈された。下の曙覧詠も旧訓に拠ったものである。

【影響を受けた和歌の例】
我ほしといふ人もがな梅の実の時し過ぎなば落ちや尽きまし(佐久間象山『省諐録』)
雨つつみ日を経てあみ戸あけ見れば()ちて梅ありその実三四(みつよつ)(橘曙覧『志濃夫廼舎歌集』)

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