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白氏文集卷十一 江上送客2010年06月19日

江上に客を送る  白居易

江花已萎絶  (かう)の花は(すで)に萎え絶えたり
江草已銷歇  (かう)の草は(すで)()()みたり
遠客何處歸  遠客(えんかく) 何処(いづく)にか帰る
孤舟今日發  孤舟(こしう) 今日(こんにち)()
杜鵑聲似哭  杜鵑(とけん)(こく)するに似たり
湘竹斑如血  湘竹(しやうちく) 斑らなること血の如し
共是多感人  共に(これ)感多き人
仍爲此中別  (すなは)此中(ここ)に別れを為す

【通釈】河辺の花はもう枯れ果ててしまった。
河辺の草はもう消え失せてしまった。
遠来の旅人はどこへ帰って行くのか。
君を乗せた一艘の舟が今日出航する。
ほととぎすは号泣するように鳴き、
湘竹のまだら模様は血の涙のようだ。
君も私も共に多感の人。
その二人が今ここに別れねばならぬとは。

【語釈】◇杜鵑 ほととぎす。我が国には初夏に渡来し、秋に中国南部に帰る。「杜」はこの鳥に化したとの伝がある蜀の望帝の名「杜宇」に由来する。◇湘竹 斑竹。舜の妃湘夫人が舜の死を傷み流した涙によって斑紋を生じたと伝え、この名がある。

【補記】長江のほとりで旅人を送ったことを詠んだ感傷詩。元和十四年(819)頃、忠州(四川省忠県)刺史時代の作。実隆・景樹の歌はいずれも「杜鵑声似哭」の句題和歌。

【影響を受けた和歌の例】
せきあへぬ思ひ有りともほととぎすふるさと人に心して啼け(三条西実隆『雪玉集』)
ほととぎす一むら雨のふりいでてなく涙さへ見ゆる空かな(香川景樹『桂園一枝』)

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