白氏文集卷六十六 初入香山院對月 ― 2010年08月23日
初めて
老住香山初到夜 老いて香山に住むに 初めて到る夜
秋逢白月正圓時 秋
從今便是家山月 今
試問清光知不知 試みに問ふ
【通釈】老いて香山に隠居しようと、初めて訪れた夜、
秋、白い月があたかも真円の時に逢う。
これからは、これが我が家郷の山の月なのだ。
ためしに尋ねよう、清らかな月よ、そのことを御存知かどうか。
【語釈】◇香山院 洛陽の龍門の東にあった香山寺。◇老住 隠居し、終の住処とすること。
【補記】太和六年(832)秋、初めて香山寺に入り、月に対して詠じた詩。作者六十一歳。以後、白居易は香山寺の僧と親しく交際し、香山居士を名乗った。初二句が『新撰朗詠集』巻上秋「月」の部に採られている。家経の歌は「居易初到香山心」を題とする句題和歌。
【影響を受けた和歌の例】
いそぎつつ我こそ来つれ山里にいつよりすめる秋の月ぞも(藤原家経『後拾遺集』)
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