佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州49 壱岐 ― 2017年11月13日
壱岐の猿岩
補録
壱岐
玄界灘にある島。長崎県壱岐市。博多・唐津から船便、長崎から航空便がある。中国の史書に記された「一大国」「一支国」に当るかとされる。万葉集には「由吉能之麻(ゆきのしま)」とあり、以後の和歌でも「ゆきの島」「ゆき島」として多く「行き」または「雪」の意を掛ける。
壱岐の島に到り雪連宅満忽ち鬼病に遇ひて死去せる時に作れる歌
新羅へか家にか帰る壱岐の島行かむたどきも思ひかねつも
ゆかしくば行きても見ませゆき島の巌におふる撫子の花
(注:万葉巻十九に「ゆき島の巌におふるなでしこは…」とある。この「ゆき島」は「雪島」すなわち雪景色の庭園の意であろうが、実朝は「壱岐島」と誤解し、この歌を証歌にして「ゆき島」と「なでしこ」を取り合わせたものと思われる。)
ゆきの島行きてみよかし天霧ひ雪と見るまで立てる白浪
はるかなる独り旅路の果てにして壱岐の夜寒に曾良は死にけり
葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり
(注:『自歌自註』によれば、壱岐島を旅した折の作。壱岐の最高峰丘ノ辻の頂に、この歌を刻した歌碑がある。)
畑まろき壱岐の小島の秋にしてつらつら椿ゆらら八ツ浦
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