佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州82 高千穂峰 ― 2019年05月21日
補録
高千穂峰
宮崎・鹿児島県境、霧島連山の一峰。円錐状の成層火山であり、二つの寄生火山を従える。天孫降臨伝説の地として名高く、山頂に天の逆鉾が立つ。鹿児島県霧島市の霧島神宮古宮址の近くに登山口がある。
たかちほのくしぶる峰ぞ仰がるる天の鈿女のはじめと思へば
(注:「たかちほ」を「たけちほ」とする本もある。天の鈿女は、天鈿女命。天の岩屋戸の前で踊った女神。天孫降臨の際には、天の八衢に立っていた猿田彦神を懐柔し、道案内をさせた。)
皇神の天降りましける日向なる高千穂の岳やまづ霞むらむ
高千穂の二上見ればすめがみの天降りましけむいにしへ思ほゆ
高千穂のすずのしの原打ちさやぎなびくと見れば霰降るなり
大空のみはしとなりて皇神に仕へまつりし山にやはあらぬ
高千穂の峰ほのぼのと青みたり神の笑らぎも聞きぬべきかな
神代のごと遠く思ひし高千穂の高嶺近う来てわが立つものか
辷り倒れそのまま居りて一人なりしんしんとして深き山かも
大きなるこのしづけさや高千穂の峰の統べたるあまつゆふぐれ
高千穂の山のいただきに息づくや大きかも寒きかも天の高山
高千穂の山にのぼりてその山におこるさ霧を吸ひたるかなや
高千穂はおのれそそりて高天の真澄にさびし焼山のいろ
おのづから霧ふきはれて雪かづく高千穂の峰は月夜となりぬ
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