白氏文集卷九 出關路 ― 2010年08月09日
関路を出づ 白居易
山川函谷路
塵土游子顏
蕭條去國意
秋風生故關
【通釈】山が聳え、川が流れ、深い谷底をゆく函谷の道。
塵芥と土埃にまみれた旅人の顔。
国を去ってゆく、その侘しい心よ。
折しも秋風が古関に吹き始める。
【語釈】◇函谷路 函谷関への路。函谷関は古く河南省に設けられた関所。切り立った谷の底に関路がある。
【補記】長安を去り、函谷関を出る時のことを詠む。『新撰朗詠集』巻下雑の「行旅」の部に全詩が引用されている。中世以後「関路秋風」などの歌題が好まれたのは、この詩の影響であろう。
【影響を受けた和歌の例】
都をば霞とともに立ちしかど秋風ぞ吹く白河の関(能因法師『後拾遺集』)
故郷を思ひ出でつつ秋風に清見が関を越えむとすらん(能因法師『新千載集』)
秋風にけふ白河の関こえて思ふも遠し故郷の山(藤原基家『新拾遺集』)
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