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佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』東海道線15 彦根~野路の玉川2015年02月26日

石山寺

彦根

井伊氏代々の故城。楽々園あり。

井伊直弼

近江の海磯うつ波のいく度も御代に心をくだきぬるかな

長塚節

葦の辺にゑりおもしろき近江の湖鴨うく秋になりにけるかも

東一雄

山の上の高きうてなゆ見晴るかす大きみづうみに春日匂へり

わが心ひろしゆたけし春の日を大きみづうみに向ひてあれば

鷲見秋峰

城あとの大竹村は春雨に片なびきせり鶯のなく

瀬田の長橋

琵琶湖の水の瀬田川となりて流れ落つる口に架せり

平兼盛

みつぎものたえずそなふる東路の勢田の長橋おともとゞろに

村田春海

ふみならす瀬田の長橋霧はれて波のうへゆくもちづきの駒

小林歌城

近江のやせたのわたりの明方に田上たなかみすぎてなく時鳥

木下幸文

さゞなみのひら山おろし吹あれてあられよこぎる瀬田の長橋

村山松根

瀬田川の蘆分をぶねさす棹に露とこぼれてたつ蛍かな

長塚節

蜆とる舟おもしろき勢多川のしづけき水に秋雨ぞふる

石山寺

石山駅より南二十町。寺内にいはゆる紫式部の源氏の間あり。

藤原為家

あひがたき花のさかりに見つるかなけふ石山の春の月影

三条実美

岩が根のくすしき山にくすしくも千代ふる寺は尊とかりけり

高田春子

その昔いとこ等きそひ結びてし紙もあるらし縁結び岩

紫式部を
玉木安緒

石山の月にみがきし言の葉の玉の光ぞ世々を照せる

松本千代子

いし山の月夜を清み須磨明石おもかげにして筆やとりけむ

粟津が原

石山駅より大津に到る間。木曽義仲戦死の処。

賀茂真淵

大びえやをびえの雲のめぐりきて夕立すなり粟津野のはら

石川依平

大木曽の荒山ざくら末つひに雪と散りゆく粟津野の原

長塚節

秋雨に粟津野くれば葦の穂にうみ静かなり遠山は見えず

膳所

大津より近し。

間島弟彦

膳所の町湖添うみぞひ道の真昼日の袖の下より飛ぶつばくらめ

夕されば波さわ立ちて帰る帆の風に高鳴る矢走舟やばせぶねかも

野路の玉川

草津より近し。

源俊頼

明日も来む野路の玉川萩こえて色ある波に月やどりけり

千種有功

秋萩の花の影さへ匂ふなりぬれて渡らむ野路の玉川

補録

瀬田の長橋

平兼盛

望月の駒ひきわたす音すなり瀬田の長道橋もとどろに

藤原定家

夜をこめて朝たつ霧のひまひまにたえだえ見ゆる瀬田の長橋

藤原為家

にほの海やかすみて暮るる春の日にわたるも遠し瀬田の長橋

石山寺

藤原長能

都にも人や待つらむ石山の峰にのこれる秋の夜の月

野路の玉川

藤原家隆

うづらなく野ぢのたま川けふみれば萩こす波に秋風ぞふく

宗尊親王

今ぞみる野ぢの玉川尋ねきて色なる浪の秋の夕ぐれ

宗良親王

紫の色なる波もくくるらし萩ちる頃ののぢの玉がは

木下長嘯子

鷺あさる野ぢの玉川きてみればつばさ色なる萩が花ずり

上田秋成

萩が枝の末はさざれに流れあひて波も花なる野路の玉川

千種有功

暮れゆけば月と花とになりにけり萩のかげゆく野ぢの玉川

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