佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』大阪神戸附近6 住吉 ― 2015年05月06日
住吉
大阪市の南端より約一里の南にあり。官弊大社住吉神社あり。
住の江の岸の松が根うちさらし寄り来る波の音の清しも
われみても久しく成ぬ住のえの岸の姫まつ幾よへぬらん
住の江の松を秋風吹くからに声うち添ふる沖つしらなみ
おきつかぜ吹きにけらしな住吉の松のしづえをあらふしら浪
住吉の松の木間より見渡せば月おちかゝる淡路しま山
雁はなどやすらふ心なかるらむ松原かすむ住の江の浦
淡路島見つゝゆけとや住吉のあらゝまつ原まばらなるらむ
補録
住吉
(水垣注:上代は「すみのえ」と呼ばれ、これに「住吉」の字を宛てたが、平安時代から「住吉」を「すみよし」とよむようになり、こちらの呼び方が普通になった。)
白浪の千重に来よする住吉の岸の黄土ににほひてゆかな
住吉の得名津に立ちて見渡せば武庫の泊ゆ出づる船人
暇あらば拾ひにゆかむ住吉の岸によるといふ恋忘れ貝
道しらば摘みにもゆかむ住の江の岸におふてふ恋忘れ草
すみの江の岸による波よるさへや夢のかよひぢ人目よくらむ
あまくだるあら人神のあひおひを思へば久し住吉の松
いくかへり花咲きぬらむ住吉の松も神代のものとこそきけ
住吉の松のうれよりひびき来て遠里小野に秋風ぞふく
我が道をまもらば君をまもるらむよはひはゆづれ住吉の松
住の江や春のしらべは松風もひとつみどりの色にかすみて
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