佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』山陰線13 安来・中海 ― 2016年08月26日
中海 ©鳥取県
安来
中の海に臨む。
日本海の夕べはさびし燈台の灯も見えぬまで秋雨降れば
補録
中海
中の海とも。鳥取・島根県境にまたがる汽水湖。西にある宍道湖と大橋川によってつながっている。古くは「飫宇の海」と言った。
出雲守門部王の京を思ふ歌一首(万葉集)
飫宇の海の河原の千鳥汝が鳴けばわが佐保川の思ほゆらくに
門部王の恋の歌(万葉集)
飫宇の海の潮干の潟の片思ひに思ひや行かむ道の長手を
讃岐守安宿王等、出雲掾安宿奈杼麻呂の家に集ひて宴する歌(万葉集)
おほきみの命かしこみ於保の浦をそがひに見つつ都へのぼる
(注:「於保の浦」(原文「於保乃宇良」)が出雲国庁近くの浦であるとすれば、現在の中海の一部にあたるかと推測される。)
おうの海にしのまの海人のかづくてふ風のかがみの堪へがたの世や
飫宇の海の その川千鳥 千世と祝ぎ 八千世と祝ぎて 今日もかも 円居すらしも ことほがひ 酒ほがひして 今もかも 宴すらしも 玉松の はしき島山 ゆきめぐる 月日も知らに 宴すらしも
国引きの遠き昔をまのあたり見る心地するそりこ舟哉
「そりこ舟」は中海で使われていた独特の刳舟。舳先が極度に反り返っているためこの名がある。
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