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白氏文集十六 櫻桃花下歎白髮2010年04月03日

桜桃(あうたう)花下(くわか) 白髪(はくはつ)を歎ず 白居易

逐處花皆好  処を()ひて 花皆()
隨年貌自衰  年に(したが)ひて (かたち)(おのづか)ら衰ふ
紅櫻滿眼日  紅桜(かうあう) 眼に満つる日
白髮半頭時  白髪 (かしら)半ばになる時
倚樹無言久  樹に()りて (げん)無きこと久しく
攀條欲放遲  (えだ)()ぢて 放たんとすること遅し
臨風兩堪歎  風に臨みて (ふた)つながら歎くに()へたり
如雪復如絲  雪の如く ()た糸の如し

【通釈】処々、花はみな美しいが、
年々、容貌は自然と衰える。
紅い桜桃(ゆすらうめ)が満目に咲き誇る今日、
白い髪は既に頭の半ばを覆っている。
樹に寄りかかっては、久しく黙り込み、
枝を引き寄せては、いつまでも離さずにいる。
春風に吹かれて、二つながら嘆きに堪えない。
私の髪が雪のように白く、糸のように細いことに。

【語釈】◇逐處 どこへ行っても。至るところ。◇紅櫻 紅いユスラウメ。中国ではユスラウメを櫻と言う。

【補記】定家の歌は「逐処花皆好、隋年貌自衰」を句題とした作。

【影響を受けた和歌の例】
色も香もおなじ昔にさくらめど年ふる人ぞあらたまりける(紀友則『古今集』)
宿ごとに花のところはにほへども年ふる人ぞ昔にもにぬ(藤原定家『拾遺愚草員外』)