白氏文集卷十四 惜牡丹花2010年04月28日

牡丹の花 鎌倉鶴岡八幡宮ぼたん園にて

牡丹花を惜しむ  白居易

惆悵階前紅牡丹  惆悵(ちうちやう)階前(かいぜん)紅牡丹(こうぼたん)
晩來唯有兩枝殘  晩来(ばんらい)()両枝(りやうし)のみ残れる有り
明朝風起應吹盡  明朝風起らば(まさ)に吹き尽くすべし
夜惜衰紅把火看  夜衰紅(すゐこう)を惜しみて火を()つて()

【通釈】悲しいことだ、(きざはし)のほとりの紅い牡丹が
夕暮、もう二枝しか残っていない。
明朝、風が吹けば散り尽くしてしまうだろう。
夜、衰えてゆく花の色を惜しみ、灯を手に見守るとしよう。

【補記】同題二首の第一首。自注に「翰林院北廳花下作」とあり、翰林院(皇帝の秘書の詰め所)での作と知れる。白居易が翰林学士となったのは元和二年(807)、三十六歳。『千載佳句』に第三・四句が引かれている。

【影響を受けた和歌の例】
ふかみ草あかずや今日もくれなゐの花のともしび夜もなほ見む(中院通村『後十輪院内府集』)