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李白詩全集卷十九 陪族叔刑部侍郎曄及中書賈舍人至游洞庭 其四2010年09月19日

族叔(ぞくしゆく)刑部(けいぶ)侍郎(じらう)(えふ)及び中書(ちゆうしよ)()舍人(しやじん)()(ばい)して洞庭(どうてい)(あそ)ぶ 其四  李白

洞庭湖西秋月輝  洞庭湖(どうていこ)の西 秋月(しうげつ)輝き
瀟湘江北早鴻飛  瀟湘江(せうしやうかう)の北 早く(こう)飛ぶ
醉客滿船歌白苧  酔客(すいきやく)船に満ち白苧(はくちよ)を歌ふ
不知霜露入秋衣  知らず 霜露(さうろ)秋衣(しうい)()るを

【通釈】洞庭湖の西には秋の月が輝き、
瀟湘江の北には早くも鴻が飛んでいる。
酒に酔った客が川船に満ち、白紵の歌に声を張り上げる。
露霜が秋服の中に落ち入ろうと、気づきもせずに。

【語釈】◇洞庭湖 湖南省北部の大湖。◇瀟湘江 洞庭湖の南の瀟水・湘水。八箇所の佳景は瀟湘八景と呼ばれた。◇鴻 大型の水鳥。ひしくい(大雁)や白鳥の類。◇醉客 李白自身とその連れを客観視して言う。◇白苧 白紵歌。古くから伝わる歌曲。

【補記】李白の叔父だという李曄(りよう)と中書舎人であった友人の詩人賈至(かし)と連れ立って洞庭湖に遊んだ時の詩、五編のうちの第四。定家の歌は給字により詩句を作り、これに韻字歌を添えたもので、詩句は明らかに李白の掲出詩第三句を踏まえている。歌の解釈はこちら

【影響を受けた和歌の例】
寞閨砧杵向霜怨、酔客徒誇白綺歌
おのづから秋のあはれを身につけてかへる小坂の夕暮の歌(藤原定家『拾遺愚草員外』)